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宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

【きまぐれ名画座スペシャル】閑古堂の年またぎ映画祭(その2) 『ライトスタッフ』『ミッドナイト・ラン』

2023-01-01 11:56:00 | 映画のお噂

年またぎ映画祭4本目『ライトスタッフ』THE RIGHT STUFF(1983年 アメリカ)
監督・脚本=フィリップ・カウフマン
製作=アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
製作総指揮=ジェームズ・D・ブルベイカー
原作=トム・ウルフ
撮影=キャレブ・デシャネル
音楽=ビル・コンティ
出演=サム・シェパード、スコット・グレン、エド・ハリス、デニス・クエイド、フレッド・ウォード、バーバラ・ハーシー、キム・スタンリー、ヴェロニカ・カートライト
Blu-ray発売元=ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント


アメリカ初の有人宇宙飛行プロジェクト「マーキュリー計画」に抜擢された7人の宇宙飛行士たちと彼らの妻たち、そして音速の壁を超えるために孤独な挑戦を続けた航空機パイロットの姿を描いた、フィリップ・カウフマン監督入魂の3時間超におよぶ大作ドラマです。
原作となったのは、トム・ウルフによるドキュメンタリー小説『ザ・ライト・スタッフ』。プロデューサーは『ロッキー』シリーズを生み出したロバート・チャートフとアーウィン・ウィンクラーのコンビ。

実は今回初めて鑑賞したのですが、いやもう素晴らしいの一言!
国家の重圧を背負いながらも、徐々に結束を強めていく7人の宇宙飛行士たち、孤独な挑戦を続けるチャック・イェーガー、それぞれ見応えがある双方のドラマが交差することで、この上ない高揚感と感動を生み出しています。本作でアカデミー作曲賞を受賞したビル・コンティ(こちらも『ロッキー』シリーズの音楽で有名)の音楽も最高で、高揚感と感動をいやが上にも高めてくれます。一方で、男たちのドラマに隠れがちな宇宙飛行士たちとパイロットの妻たちの葛藤のドラマもしっかり描かれていて、物語に広がりを与えています。

登場人物でとりわけ印象的なのが、サム・シェパードが演じる初めて音速の壁を超えた男、チャック・イェーガー。宇宙開発の喧騒に背を向け、孤独な挑戦を続けながらも、同じように命をかけた挑戦に臨む宇宙飛行士たちへのリスペクトを示す姿が本当にカッコいいのです。
宇宙飛行士役も、スコット・グレンやデニス・クエイドなどといった個性豊かな俳優揃い。その中の一人であるジョン・グレン役のエド・ハリスは、やはり宇宙飛行がテーマである『アポロ13』(1995年)や『ゼロ・グラビティ』(2013年)にも出たりしております。またランス・ヘンリクセンは『エイリアン2』(1986年)のアンドロイド、ビショップ役でも有名ですね。
そのほかにも、ガス・グリソム役が『トレマーズ』(1990年)のフレッド・ウォード、その妻ベティ役が『エイリアン』(1979年)のヴェロニカ・カートライト、またチョイ役ながら宇宙飛行士のリクルーター役で『ザ・フライ』(1986年)や『ジュラシック・パーク』(1993年)などのジェフ・ゴールドブラムが出ていたりと、SF映画好きにはたまらないキャスティングも魅力なのであります。

ライトスタッフ(正しい資質)を活かして、未知への挑戦に向かうことの大切さを讃える本作は、観るものに感動と勇気を与えてくれます。

年またぎ映画祭5本目『ミッドナイト・ラン』Midnight Run(1988年 アメリカ)
監督・製作=マーティン・ブレスト
製作総指揮=ウィリアム・S・ギルモア
脚本=ジョージ・ギャロ
撮影=ドナルド・ソーリン
音楽=ダニー・エルフマン
出演=ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリーナ、ジョー・パントリアーノ
Blu-ray発売元=NBCユニバーサル・エンターテイメント

年またぎ映画祭の5本目、そして昨年最後に観た作品は、わたしの大のお気に入りである『ミッドナイト・ラン』。ギャングの金を横領した会計士と、彼をNYからロスへと移送する賞金稼ぎが、逃避行を続けるうちに不思議な友情で結ばれていくさまを描いたアクション・コメディです。監督は『ビバリーヒルズ・コップ』(1984年)などで知られるマーティン・ブレスト。
主演のロバート・デ・ニーロとチャールズ・グローディンのコンビがとにかく最高!いつも徹底した役づくりで卓越した演技を見せるデ・ニーロも、この作品ではコメディに強いグローディン相手に、肩の力を抜いた軽妙でのびのびした芝居を披露して楽しませてくれます。
主演コンビはもちろんのこと、どこか憎めないFBI捜査官を演じた『007/死ぬのは奴らだ』(1973年)や『エイリアン』(1979年)のヤフェット・コットーや、主人公のライバルである賞金稼ぎ役のジョン・アシュトンなどの共演陣も魅力的です。
アクションと軽妙な笑いを巧みに組み合わせたストーリーの末に迎える痛快なラストには、思わずジーンとさせられます。また、主人公が9年ぶりに娘と再開する場面も、また忘れられない余韻を残してくれます。
ロードムービーとしても、あるいはバディムービーとしても大いに楽しめる快作です。これからまた、何度でも観ていきたいとあらためて思える大事な作品であります。

今年は意識的に、映画をたくさん観ることを(本を読むことよりも。笑)あえて優先させていきたいと考えております。2023年も、どうかよろしくお願い申し上げます!



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