読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

鹿児島・オトナの遠足 ~薩摩、火の国、灰かぶり旅(第1回) まずは「白熊」で暑さしのぎ

2013-10-06 22:32:37 | 旅のお噂
気温が上がったり下がったりを繰り返しながらも、少しずつ秋が深まってきている今日この頃でございます。
風に吹かれながら、ふらりと何処かへ出かけたくなる気持ちが、日一日と高まってくるような時期でありますねえ。それとともに、今年の異常な猛暑続きでなりを潜めていた食欲も、ムクムクと湧いてくるのであります。
そんなわけで、先月(9月)の14日から15日にかけて、桜島に抱かれた風光明媚な景色と歴史ロマン、そして豊かな食文化に恵まれた地、鹿児島市へと小旅行に出かけました。
といいましても、今回はあまり時間もとれない中での、駆け足の「オトナの遠足」となってしまいましたが、そんな中でも鹿児島の醍醐味に触れることができ、思いのほかいい旅となりました。そんな旅のご報告•••もう既に半月近く経ってしまいましたが•••、今回も何回かにわけて、つらつらだらだら綴ってまいりたいと思います。

えー、実は鹿児島にはここ数年、年に一回のペースで出かけておりまして•••。だったらもう新鮮味もなくて飽きるだろうと思われる方もおられるかもしれませんが、これがそうでもないんですよね。
桜島に抱かれた美しい風景、西郷隆盛などの人物により繰り広げられた歴史ロマンを伝える史跡などは、何度訪れても惹きつけられるものがあります。
そして、何よりも惹きつけられるのが、南国の自然で育まれた豊かな食文化であります。山海の幸を手間暇かけて調理した薩摩郷土料理、うま味たっぷりの黒毛和牛や黒豚、そして多彩なバリエーションの鹿児島ラーメン。どれも魅力的で食欲をそそられますねえ。特に鹿児島のみならず南九州最大の繁華街である天文館には、それらの鹿児島の味が昼夜を分かたず提供され、人びとの胃袋を満たすのであります。•••ああそうそう、鹿児島といえば焼酎も忘れてはいけませんねえ。
そんな鹿児島の美食と美酒を、とことん堪能してみようではないか!というのが、今回の「オトナの遠足」の目的でありました。もう観光や歴史散策は二の次にして、とにかく食を満喫しよう、と。
旅に出かける前に自宅で体重を測ったら58㎏あまりございました。旅を終えて帰宅したとき、これがいかなる変化を示すのか?それを個人的に大いに楽しみにしつつ、旅立つことにしたのであります。

出発の日である9月14日、実は午前中は半ドンでの仕事でありました。
キチンと確実に•••でもどこかウキウキソワソワ気分で仕事を片付け、これから宮崎駅へ行こうという時、突然激しい雨がザザーッと降り出してきたのであります。
おととし、そして昨年の鹿児島行きのときも、あまり天気には恵まれていませんでした。もしかして今回も雨に祟られるのか、やっぱりオレは鹿児島に嫌われてるのだろうか•••。出発を前にして気分が落ち込みかけたのでありましたが、幸いにして宮崎駅に行く頃には雨もやみました。わたくしは再びウキウキワクワク気分に戻り、駅へと向かったのでありました。

雨もやみ、少し明るくなってきた空のもと、鹿児島中央駅行きの特急列車は12時半過ぎ、無事に発車いたしました。
まだ昼食を食べておりませんでしたので、列車の中で駅弁を開いて食べることにしました。宮崎名物の椎茸を活かした「椎茸めし」でありますよ。

昭和27年から発売され続けているこの「椎茸めし」、煮込まれていい色になっている椎茸がとにかく旨いのでありますよ。その下に敷かれている鶏肉の炊き込みごはんもまた絶品。なので、もうひとつの折にたっぷり入っているおかずは、まるまる酒のつまみに回せるのでありまして•••いやあ、ビールが進みましたなあ。これで950円というのは安いなあとつくづく思うのであります。
列車が鹿児島に入った頃。打ち上げが一度延期になっていた国産ロケット「イプシロン」が、同じ鹿児島県の内之浦から無事打ち上げに成功したというニュースを、手元のスマートフォンで知ることができました。いやーめでたい。これから鹿児島入りというときに、なんとも辻占がいいではありませんか。
やがて、列車が錦江湾に近づいていくにつれて、鹿児島のシンボル・桜島がその姿を現し始めました。それを目にしたわたくしの気分は、否が応にも高まってきたのでありました。


列車に揺られること2時間。ついに終点、鹿児島中央駅に到着いたしました。

駅の外に出たとたん、風に乗ってザラザラしたものが吹きつけてきました。そう、桜島の火山灰でありますよ。
ここ数年、活発な噴火活動を続けている桜島。9月の初めにも、鹿児島市内をすっぽりと火山灰で覆ってしまうような大きな噴火があったばかりでした。まだまだその活動は盛んであることを、あらためてわが身で感じたのでありました。•••それにしても、ときおり灰が目に入ると痛いのよね。いやあ、こりゃ大変だ。でも、これがあってこその鹿児島なのでありますよ。
いつもなら、鹿児島最大の繁華街である天文館通まで歩いていくところなのですが、灰が降っている上に真夏のような蒸し暑さの中で歩くのもちょっと、ということで•••まあ、意気地のないハナシなのですが•••今回は市内電車で天文館へ向かうことにいたしました。

市内中心部の主要な地域をカバーしている市電は、大人160円、子ども80円で乗ることができ、いまも地元の人たちの足として重宝しているのであります。観光目的にとっても、ちょっとした移動に利用すると便利だったりいたします。
市電に揺られることしばし、ついに天文館へとやってまいりました。

鹿児島に来たらまずはこれにありつこう、と思っていたのが「白熊」であります。
たくさんのフルーツをのせたミルクがけかき氷「白熊」。すでに全国的に知名度のある、鹿児島を代表するスイーツであります。市内の多くの飲食店などでいただくことができますが、ここはやはり白熊発祥のお店で、ということで「天文館むじゃき」に行きました。

もともとは中華料理店である「むじゃき」。20年ちょっと前に訪れたときには、中華料理店が白熊もやってますよ、的な感じだったように記憶していました。かなり久々に訪れてみると、一見したら白熊のほうの専門店かと思うような感じで、だいぶ雰囲気が変わっておりましたね。
いまや観光名所的なお店、しかも蒸し暑い日ということもあって、さぞかしお客さんが多めなのでは、と思いつつ訪れると、やはり店先には行列が。普段ならあまり行列に並ぶようなことはしないのですが、せっかくだからちょっとガマンするか、と列につきました。幸い、さほど待たされることもなく店内に案内してもらえました。お店の方も手慣れたもので、「お食事ですか白熊ですか?」てな感じで次々とお客さんを振り分けておられました。
ミルクがけのオーソドックスな白熊を始め、ストロベリーや金時、ソフトクリームをトッピングしたものなど、全部で15種類のバリエーションの中から「ヨーグルト白熊」をいただきました。

ヨーグルトソースがかけられたてんこ盛りの氷に、メロンやキウイ、みかん、さくらんぼ、レモンがトッピングされていて、なかなかのボリューム。ちょっと甘酸っぱいヨーグルトソースが氷に合っていて、実に美味しかったですねえ。しかも、さらに氷の底にはみかん、寒天、蜜豆が埋まっていたりしてまして、いやあ、満足でありました。蒸し暑さがだいぶ和らいだように感じられましたね。
バリエーションの中には、「焼酎のほのかな香り」がするという「焼酎みぞれ」なる変わり種もございました。ちょっと興味は湧いたのですが•••まあ、やはり焼酎は夜の部にとっておこう、ということで見送りました。今度機会があったら試してみたいな、と思います。
食べ終わって外に出ると、テイクアウト用の白熊を販売する窓口にも人が鈴なりになっておりました。

繁華街の目と鼻の先にある「かごしまプラザホテル天文館」にチェックインしたわたくしは、シャワーで汗と火山灰を洗い流しました。そして風呂上りに、天文館のアーケード街にあるドラッグストアで買っておいた、肝臓に効くというドリンク剤「ヘパリーゼ」を2本飲みました。そう、もちろん夜の飲み歩きに備えて、でありますよ。

さあ、準備万端整いました!目標は居酒屋3店舗を飲み歩くこと。いざ、夜の天文館へ出陣するぞー!

ということで、このあとは夜の天文館へ居酒屋めぐりに出かけます。そのお噂はまた次回に。