一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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対面キッチン

2009年06月28日 16時31分02秒 | 住宅ノウハウ・実例
▲ひとくちに対面キッチンと言っても、様々で…


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。


かなり以前のブログに、先日貴重なご意見を頂いています。

2007年10月14日 ユ二バーサルデザインについて 

です。このブログにコメントを頂きました。


転記しておくと


「交通事故の後遺症で一見軽症のむちうちだと思ったら、
 脳脊髄液減少症だった、同じgooでブログ書いているゆめと申します。

 よろしくお願いします。

 私はこの病になって、対面キッチンは「バリアフリーでも
 ユニバーサルデザインでもない」ことに気がつきました。

 若いお母さまたちは、みな対面キッチンにあこがれるようですが、
 子供が目が離せない時期は、ごく一時期だと思います。

 足が不自由になったり、車椅子になったり、年を取ってくると、

 対面キッチンは銅線が長すぎるしと思いますがいかがですか?」


という内容です。



私からのコメントとしては、

ゆめ さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

ご病気は、毎日の生活がかなり大変そうですね。

対面キッチンについては、明るさや開放感があって、
適度に隠せるので、ご希望される主婦の方は多いです。

動線が長いとのことですが、
対面キッチンであるかどうかとは、
あまり関係ないのではないかと思います。

対面キッチンといっても様々なパターンがあり、
他の形式より動線が短くなるとは、簡単にはいえません。

必要な条件によって、動線はかなり変わってくるからです。

おっしゃっているのは、おそらく

壁に向かってキッチンがあり、
振り返れば、ダイニングテーブルがあるというパターンが
動線が短くて良いということではないかと察します。

確かに、食器や電子レンジなどがそのキッチンセット内で
納まれば動線は短くて済みますが、

一般的には、別に食器棚やレンジなどが横に並ぶことになり、
キッチン内での動きは、振り返るとそれらがある対面キッチンより
不利になる場合も考えられます。

条件により、どちらが動線が短くなるかも変わります。

料理を運ぶのを最小限の移動で済ませるには、
対面キッチンのカウンター部分を広くしたり、
アイランドカウンターにすれば、動線はかなりカットできます。


もっとも車椅子にお乗りの場合は、おそらく我々が
頭で想像しているのとは異なると思いますの
で、詳しく教えて頂ければ、私やみなさんの今後の参考になります。


このブログで、ゆめさんのコメントをお借りして私が言いたかったのは、

教科書や書籍に書かれているのは、ほんのひとつのパターンでしかなく
標準寸法や位置などは、介護を考える上ではほとんどあてに
ならない、ひとりひとりに合わせて個別に考えていかなければならない、

ということです。



▲健常者だけのユニットバスでも将来を考えて、
手摺は毎回3箇所に、念のため付けています。


実際、バリアフリーに対して、
横浜市からの依頼で障害者がリフォームする場合に、
本当にリフォーム会社の提案で良いかどうかを、確認や立会いに何軒も行きました。


基本的な知識のないリフォーム担当者は問題外ですが、

個別に考えていかなければならないということを
理解していない場合は、かなり内容が変わっていきます。

実際にその方に、動きを行ってもらい相談しながら、

無理な場合は、その方の身になってヘルパーさんや
ケアマネージャなどの専門家と一緒になって考えます。

そういう個別性が必要で、画一的なパターンでの処理では無理なのです。



設計事務所 住宅 

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1 コメント

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おはようございます。 (ゆめ)
2009-07-03 08:55:17
記事にとりあげていただき、
ありがとうございました。

いくつか気づいた点をまた、お伝えさせていただきます。

まず、脳脊髄液減少症について、少しだけ説明させてください。

交通事故など、体に衝撃を受けて起こるもので、どこの誰でも明日にでもなりうるありふれた事故後遺症です。

なかなか治らない「むち打ち症」の体調不良、首の痛み、肩こりなどの患者さんの中にも
隠れている可能性があります。

ただ、医師にも認知度が低いためと、症状が不定愁訴ばかりのため、本人も医師も気づくのが遅れ、
ひどくなると、歩けなくなったり、寝たきりになったりする恐ろしい事故後遺症です。

この病かも?と気づいても、正しく検査診断治療できる病院や医師はまだまだ限られています。

皆さんの周りに、事故後、肩こりやめまい
頭痛、など体調不良に苦しんでいる方がおられましたら、この病の可能性もありますので、
どうかこの病名だけでも教えてあげてください。

決してまれな病ではありません。これだけ交通事故が多いのですから、きっとまだまだ潜在患者さんはいると思います。

さて、病名の説明はそれぐらいにして、

その誰にでも明日にでもなる可能性のある患者にやさしい家づくり、キッチンづくりというものは、

どんな方にも、住みやすく、暮らしやすい設計につながるのではないかと思います。

私もこの病になるまで、健常者の視点でしか、考えたこともなく、

まさか自分が、高齢者や障害者の視点で、家の中を見るようになるとは思いもしませんでした。

脳脊髄液減少症という事故後遺症が悪化して、車椅子や、記憶障害を経験してはじめて、

高齢者や障害者や、認知症の方でも安全で暮らしやすい家とは何かを考えるようになりました。

そういう視点で考えた時、
対面キッチンは身体的にも精神的にも健常者に限るものだと感じたのです。

特に、
熱源がたとえIHであったとしても、リビングからの壁の死角に入ってしまう点が非常に問題だと思っています。

適度に隠れることが、
逆に、危険を招くこともあると思うのです。

あと、アイランドキッチンも、掃除が完璧にできるだけの体力と体の機能を持つ、健常者向きだと思いました。

健常者にはそんなことは関係ない、と思われ、
健常者中心の家作りが多いのもしかたありませんが、

もっと誰にでも住みやすく安全で使いやすい視点を盛り込んだ家が増えてほしいと思います。

また、気がついたことがありましたら、お伝えいたします。

今後ともよろしくお願いいたします。
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