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通し柱のトラブル相談

2009年04月09日 10時14分11秒 | 住宅検査・トラブル相談
▲ホールダウン金物の写真 (㈱カネシンの製品カタログより) 


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

昨日は、神奈川県建築士事務所協会の相談当番になっていたので、
関内で2件のご相談を受けました。

そのあと、設計監理指導委員会が同じ日にあったので、
会議に遅れて参加しました。



本日は、メール相談にブログでお答えします。


最近のコメントには、おととい相談に回答したばかりのものもあります。
ご覧下さい。


RCリフォームについての質問と回答/コメント欄



さて、昨日頂いた新しい相談の要点です。



「2F建て新築中。図面には通し柱が7本あり、実際の建築中に見たら
全て2F部分で寸断され通し柱でないことに気付きました。

工事やり直しか、契約解除か、もしくは、接合部分の補強で対応してもらうか、
どの選択肢が妥当なのでしょうか?」


一般的な構造に関するご質問ですので、
回答もみなさんにシェアーしたいと思います。

私の回答です。

……………………………………………………………………………

構造面なのでご心配だと思いますが、

結論から申し上げますと、補強で大丈夫です。

補強の方法は、ホールダウン金物などで1階と2階の柱を緊結します。

建築基準法にある、数少ない木造の構造に対する法律です。
建築基準法施工令第43条5項ですが、


「階数が2以上の建築物におけるすみ柱又はこれに準ずる柱は、通し柱と
しなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有する
ように補強した場合においては、この限りではない。」


とあります。

具体的には、写真のように1階と2階の該当する柱をホールダウン金物を
使って緊結します。これで大丈夫です。



▲このように1階と2階をつなぎます。(㈱カネシンの製品カタログより)


この場合においては構造用合板で固めるという方法は、通常不可です。

写真や図のような方法を選択して、正しく工事をすれば、
同等以上になりますので、構造的にも法的にも問題はありません。


……………………………………………………………………………

最近は、建築検査専門の会社やNPO組織が増えています。
一般の建築士でも対応している場合も多いです。

ですが、中にはいたずらに不安をあおるようなコメントを行う建築士が
多い気がします。それでいて、肝心な点を見落としていたり、
原因の正しい推測が行われていません。

要するに、建築士の正しい知識や経験が不足しているのです。


設計もしっかり行い、工事監理もしっかりできて、現状や現場で何が
行われていて、何が正しく何が悪いか…

こういったことを知っていないと、建築の瑕疵や欠陥などについて
正しくコメントはできないからです。

また、そういうバランスをもって追求している建築士は少ないからです。


弁護士を通して裁判所に出される建築士の鑑定書でさえ、
依頼者に媚びを売っているとしか思えない、

それでなければ完全な無知からくるとしか思えない内容が
書かれていることがあります。


依頼者の機嫌を取るのではなく、建築士としてもっと勉強して、
どうどうと正しい意見を述べられるようになって欲しいものです。




横浜市 一級建築士事務所 

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1 コメント

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通柱 (ディスカス)
2017-10-08 11:28:30
階数2以上の建築物の隅柱は直し柱とする。又は,通柱に準ずる柱として管柱を用いて金物補強をすると定めているが,前者は好ましい方法ではない。何故ならば3方差,4方差になる場合があり,通柱で最も重要な接合部での断面欠損が大きく残存断面積が少なくなり,断面係数が小さく柱の耐力を非常に小さなものとしている。又,柱の小径に基づいて算定した柱の所要断面積の1/3以上を欠き取る場合には,その部分を補強しなければならないが十分な補強はむずかしい場合が多い。通柱を必要とする場合は後者の管柱を補強する方法の方が強度的,コスト上も合理的と考えている。どしても通柱としなければならない場合は柱の断面欠損が最小となる金物を選択することが望しいと考えている。
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