一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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耐震性に優れている?

2008年12月05日 15時39分52秒 | お勧め(建築編)
▲屋根の垂木と呼ばれる部分、通常の1.4倍~2倍程度の部材を標準にしています。
理由は、屋根面の強度、水平面の強さ、断熱材の厚さを考えてのことです。
地震だけでなく、温暖化による大型台風の増加考慮に入れています。


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

さて、先日の続きです。構造面の心配相談…


最初に誤解の無いように申しあげておきますと、

住宅性能表示制度やフラット35は、良いシステムだと思いますし、
日本の住宅産業のレベルアップには役立つシステムだと思っています。

でも、なぜ私が積極的に、これらをあまり使わないかを説明しましょう。

私は住宅性能表示制度が最初にスタートするとき、
その設計や工事をチェックする立場の評価員の資格を取得しています。
制度の内容や中味を連続4日間の講習と試験で詳しく理解しました。

そのときの私の感想は、

・低レベルの建物を無くすためには確かに良いし、第三者の保証が付くのも良い。

・中味は、あるレベル以上であれば必要のないものばかりだ

・意味の無い書類作成などに私の時間を費やしたくない。

・頼まれたら50万円もらっても、本来はやりたくない。
(コンピューターのソフトを購入すれば、簡単にできるようですが)

・これに費用を余分に掛けるくらいなら、その費用をアップグレードに廻した方が良い。

・制度の内容を良く見せるために、中味が無いのに無理やり項目を増やし等級を付けたものがある。

というような感想と、大きな声ではいいませんが、
これはハウスメーカーの工務店潰しの陰謀では?(笑)

というようなことです。

ちょっと過激な発言ですね…(^^)ゞ
これは、冗談ですから、本気にしないで下さいね。


おかしいと思える分かり易い例では、

住宅性能表示制度の耐震等級2は、建築基準法の1.25倍の強さという定義になっています。
ですが、性能表示制度の計算方法は建築基準法の計算にさらに加算して数値を出します。

この計算方法では、プランによって変わりますが、
耐震壁の壁量は0.1~0.3くらい加算されます。
これは、どういうことかといいますと、

建築基準法でギリギリの数値であっても、住宅性能表示制度で計算すると
1.25倍と定義している耐震等級2になってしまうことも珍しくないということです。

もしくは、建築基準法を満たしていない物件でも計算上は耐震等級2に
なってしまうこともあり得ます。

こんな矛盾した内容で、低いレベルを満たすために私は設計や監理をしていませんから、
そのために私の時間を費やし、予算の無い中、施主の予算を割いてやりたいとは思わないのです。

しかも、設計上、足かせになって邪魔になってしまうこともあるのです。

住宅の設計は、総合的に考えて選択をしていくものです。
個別に選択していくものではありません。

個別に一律の規制があると、その制約のために良い設計にできない場合があります。
低いレベルを規制するにいは良くても、全体で考えてより良くするために
邪魔になることがあります。

例えば、基礎の立ち上がりの高さは地盤から40センチ以上必要という規制があります。
これはこれで、防湿面や基礎の強度面を考えてのことですから、意味はわかります。

しかし、防湿面で問題の無いベタ基礎にして、立ち上が部分の強度を規定よりはるかに強くしても
この規制ははずれません。その規制をする理由を充分クリアーしていても
一律の判断ができないと、判定する側が面倒になるからです。

ところが、敷地が小さく斜線が厳しい条件の場合も多いですから、
室内の天井をあと10センチ余分に確保できれば、ロフトや2階などの
使い方が飛躍的によくなる、

という場合には、この一律の規制が邪魔になります。
強度、湿気、メンテナンスなどの面をすべて規定以上に性能ではクリアーしていても
ダメなのです。


歯医者さんの治療で、保険治療の範囲で行うとあまり良い治療方法を選択できない
ということは聞きますね。でも、保険が使えない場合は値段が高くなりますから、
どちらが良いかはその人次第です。

ですが、費用と手間を掛けて、わざわざ良い選択肢も含めて使えないように
自ら規制してしまう可能性があるのが、フラット35や
住宅性能表示制度の等級指定だというのが私の考え方にあります。

もちろん、設計や監理がそれ以上のレベルを保っているという自負があるからで、
わけのわからないところに設計や工事をお願いするなら、

一般的には、これを利用したほうが第三者が入るので安心ですよと、
矛盾したことを言うのは、最初の文章をお読みになりご理解下さい。

現在は、第三者の保証は住宅性能表示制度を利用しなくても、
もっと安く付けられますから、これだけは付けるようお勧めしています。


先日の方での実例で、もう少し説明しましょう。

長くなったので、本日2回目のブログへ続く!




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