■Bill Wilson / Talking To Stars■
アメリカ中部のインディアナ州の州都インディアナポリスから南へ約 100km 離れた所に、このアルバムが生まれた Bloomington という小さな町があります。 たったいま、世界地図帳をめくって探し当てました。 今日、ご紹介するアルバムはそんな小さなローカルタウンから届けられたアルバム。 Bill Wilson という無名の SSW による 1976 年の作品です。
アルバムは、凡庸なカントリー調の「Skid Row Rodeo」でスタート。 ローカル・レコーディングですが、演奏や録音に自主制作っぽい安っぽさはあまり感じません。 つづく「Let’s Be Friends」はピアノ系のバラードですが、♪友達になろうよ♪というサビには、気恥ずかしさを感じてしまいます。 控えめな演奏やコーラスの入り方など、しみじみして味わい深い佳作と言えるでしょう。 「Stardust Train」も憂いを帯びたバラードですが、ちょっと地味すぎる印象。 軽快なポップチューン「We Got Love」をはさんで、「Melody Man」へと続きますが、この曲も郷愁あふれるワルツ。 ハーモニウムやフルートといった楽器が彩りを添える間奏部分はローカル産ならではです。 いい曲です。
「You Got To Love」は Steve Harlos が弾く Fender Rhodes のみをバックにしたバラード。 ヘッドフォンで聴くと、よりじわっと来るのだろうなと思わせます。 「Dragonfly」もミディアムな曲。 こういう曲を聴くと、Bill Wilson はカントリー色がほとんどなく、むしろ MOR 的なサウンド指向が強いということを感じます。 といっても、仰々しく熱唱したり、過度に歌い上げたりもしないので、逆に淡白すぎるという気もします。 つづく「Time Gets Along」は、軽いボサノバ調のミディアムでアレンジのセンスも悪くありません。 夕暮れ系のコンピレーションアルバムにぴったりです。 ラストの「Lighthouse」は、いつになく歌い上げている感じの曲。 ピアノ系のバラードですが、カモメの鳴き声みたいな SE も入ってきて、この曲だけイギリス産の SSW みたいな冷たく凛とした空気感が漂います。 雲は低くたれこみ、風は冷たく、灯台にたたずむ…といった私小説的な風景が見えてきます。 どのような理由でこのようなシリアスな曲で終わるのか、Bill Wilson の意図は分りませんが、結果的にこのアルバムを一言で片付けにくくしているような気がします。
Bill Wilson という忘れてしまいそうなほど平凡な名前、そしてアルバムタイトル、そして真面目な感じがしないこのジャケット。 聴く前からして、名盤の予感はかけらも感じないアルバムですが、こんな得体の知れないアルバムと接することは僕にとっては楽しみのひとつなのです。 もう一歩、あと一息、という領域にすら至っていないのですが、1976 年というアメリカの音楽シーンの潮目が変わる時期に、こんなアルバムが小さな田舎町から生み出された理由や背景をあれこれと考えながら時々聴いてみたいアルバムです。
■Bill Wilson / Talking To Stars■
Side-1
Skid Row Rodeo
Let’s Be Friends
Stardust Train
We Got Love
Melody Man
Side-2
You Got To Love
Dragonfly
Time Gets Along
Lighthouse
Produced by Mark Bingham and Mark Hood
All Songs written by Bill Wilson
Recorded at Gilfoy Sound , Bllomington , Ind.
Ken Aranoff : drums
Blair Ferenandez : drums
Art Nash : drums , percussions
John Stith : electric bass
Acoustic bass : Rob Link
TJ : electric guitar
Mike Wanchic : electric guitar
Jeff Foster : classical guitar , mandola
Craig Palmer : tenor and soprano sax , clarinet ,flute
Mark Bingham : acoustic 12-strings guitar ,percussions , backing vocals
Randy Handley : piano
Ken Ypparila : pedal steel
Bill Schwarz : harmonium , backing vocals
Steve Harlos : fender Rhodes piano , piano
Bill Wilson : acoustic guitars , acoustic 12-strings guitar , backing vocals , autoharp
Cariline Peyton : backing vocals
Mac MacNally : backing vocals
Bar-B-Q Records BRBQ 7
アメリカ中部のインディアナ州の州都インディアナポリスから南へ約 100km 離れた所に、このアルバムが生まれた Bloomington という小さな町があります。 たったいま、世界地図帳をめくって探し当てました。 今日、ご紹介するアルバムはそんな小さなローカルタウンから届けられたアルバム。 Bill Wilson という無名の SSW による 1976 年の作品です。
アルバムは、凡庸なカントリー調の「Skid Row Rodeo」でスタート。 ローカル・レコーディングですが、演奏や録音に自主制作っぽい安っぽさはあまり感じません。 つづく「Let’s Be Friends」はピアノ系のバラードですが、♪友達になろうよ♪というサビには、気恥ずかしさを感じてしまいます。 控えめな演奏やコーラスの入り方など、しみじみして味わい深い佳作と言えるでしょう。 「Stardust Train」も憂いを帯びたバラードですが、ちょっと地味すぎる印象。 軽快なポップチューン「We Got Love」をはさんで、「Melody Man」へと続きますが、この曲も郷愁あふれるワルツ。 ハーモニウムやフルートといった楽器が彩りを添える間奏部分はローカル産ならではです。 いい曲です。
「You Got To Love」は Steve Harlos が弾く Fender Rhodes のみをバックにしたバラード。 ヘッドフォンで聴くと、よりじわっと来るのだろうなと思わせます。 「Dragonfly」もミディアムな曲。 こういう曲を聴くと、Bill Wilson はカントリー色がほとんどなく、むしろ MOR 的なサウンド指向が強いということを感じます。 といっても、仰々しく熱唱したり、過度に歌い上げたりもしないので、逆に淡白すぎるという気もします。 つづく「Time Gets Along」は、軽いボサノバ調のミディアムでアレンジのセンスも悪くありません。 夕暮れ系のコンピレーションアルバムにぴったりです。 ラストの「Lighthouse」は、いつになく歌い上げている感じの曲。 ピアノ系のバラードですが、カモメの鳴き声みたいな SE も入ってきて、この曲だけイギリス産の SSW みたいな冷たく凛とした空気感が漂います。 雲は低くたれこみ、風は冷たく、灯台にたたずむ…といった私小説的な風景が見えてきます。 どのような理由でこのようなシリアスな曲で終わるのか、Bill Wilson の意図は分りませんが、結果的にこのアルバムを一言で片付けにくくしているような気がします。
Bill Wilson という忘れてしまいそうなほど平凡な名前、そしてアルバムタイトル、そして真面目な感じがしないこのジャケット。 聴く前からして、名盤の予感はかけらも感じないアルバムですが、こんな得体の知れないアルバムと接することは僕にとっては楽しみのひとつなのです。 もう一歩、あと一息、という領域にすら至っていないのですが、1976 年というアメリカの音楽シーンの潮目が変わる時期に、こんなアルバムが小さな田舎町から生み出された理由や背景をあれこれと考えながら時々聴いてみたいアルバムです。
■Bill Wilson / Talking To Stars■
Side-1
Skid Row Rodeo
Let’s Be Friends
Stardust Train
We Got Love
Melody Man
Side-2
You Got To Love
Dragonfly
Time Gets Along
Lighthouse
Produced by Mark Bingham and Mark Hood
All Songs written by Bill Wilson
Recorded at Gilfoy Sound , Bllomington , Ind.
Ken Aranoff : drums
Blair Ferenandez : drums
Art Nash : drums , percussions
John Stith : electric bass
Acoustic bass : Rob Link
TJ : electric guitar
Mike Wanchic : electric guitar
Jeff Foster : classical guitar , mandola
Craig Palmer : tenor and soprano sax , clarinet ,flute
Mark Bingham : acoustic 12-strings guitar ,percussions , backing vocals
Randy Handley : piano
Ken Ypparila : pedal steel
Bill Schwarz : harmonium , backing vocals
Steve Harlos : fender Rhodes piano , piano
Bill Wilson : acoustic guitars , acoustic 12-strings guitar , backing vocals , autoharp
Cariline Peyton : backing vocals
Mac MacNally : backing vocals
Bar-B-Q Records BRBQ 7
今年も、見知らぬSSWの作品紹介を楽しみにしています。
http://www.groovygrafix.com/BillWilson/