■Michael Behnan / Night Shift Life■
ジャケットを自ら描くSSWといえば、Joni Mitchell をすぐに連想しますが、この Michael Behnan も彼自身によるものです。 独特のタッチのジャケットと裏腹に陽気なメンバーが写る裏ジャケットのアンバランスさが気になるアルバムは、1979 年の作品。 2 枚のレコードを発表して早世した Michael Behnan のファーストアルバムです。 彼はもともと音楽よりは絵描きとしての活動がメインだったようですが、わずかに残されたレコードには彼の才能の片鱗が封印されています。
アルバムはブルースやロック、カントリー系など多様な楽曲が収録されているのですが、A 面ラストの「Stuck Inside This Bottle」の素晴らしさが秀でています。 1 曲だけでそのアルバムの評価が上がってしまうことが稀にありますが、まさにそんなケースと言えます。 ミディアムなバラードなのですが、たとえば Ernie Graham のソロアルバムの持つ「いなたさ」に非常に近い雰囲気を持っているのです。 さりげなくメロトロンがクレジットされているのも興味深いところ。 まさに知られざる名曲といえるでしょう。
次点候補では、リラックスしたムードの「Georgia On A Horn」、トラッド感あふれるワルツ「Night Shift Life」、Marianne Girard とのデュエット曲「Where Did My Street Go?」が上げられます。 いずれにしてもスローテンポの曲に Michael Behnan の持ち味が出やすいと言えるでしょう。
他の曲はシンプルで飾りの無いブルース「Gracie」、「Mouse’s Blues」、骨太のロック「Taxi Song」、「Hero From The War」、そして軽快なロック「Right Where It Hurts」といった曲が並び、シンガーソングライター的な味わいを薄めています。 さらには、カナダ産のレコードに期待しがちなクリーンな空気感も備わっていないために、アルバム全体の評価としては平凡な採点が下っても仕方ないかもしれません。
しかし、僕にとっては「Stuck Inside This Bottle」です。 このレコードを聴くことは、即ちこの曲を聴くことを意味するのです。
さて、Michael Behnan ですが、このアルバムの後に自身のレーベル Mad Dog Records からセカンド「Sweet Cosima」をリリースするも、1982 年に 35 歳の若さで癌のために亡くなっています。 同じ画家で人生のパートナーだった Lynda Lapeer も 2007 年に他界していました。 僕はそのことを、2 人の子息によるメモリアル・サイトで知ったのですが、このサイトのトップページのデザインは素晴らしいですね。 無表情に絵を描く Lynda Lapeer と人なつこそうに電話をする Michael Behnan の対比が 1 枚の写真に収められており、時間を忘れて見入ってしまいました。
まだ入手していない「Sweet Cosima」のジャケットはどうやら Lynda Lapeer の作品のようです。 サイトを検索しているうちに、そうした事実が急に紐解かれ始めました。 早く聴いてみたいという思いは高まる一方ですが、その作品をレコーディングしている頃は、Michael Behnan がすでに癌に冒されていたのかもしれないと思うと複雑な気持ちになります。
■Michael Behnan / Night Shift Life■
Side-1
Gracie
Georgia On A Horn
Right Where It Hurts
Mouse’s Blues
Stuck Inside This Bottle
Side-2
Night Shift Life
Taxi Song
Busted Guitar , Broken Heart
Hero From The War
Where Did My Street Go?
Produced by Doug Bowes
Recorded at Inception Sound Studios, Downsview, Ontario
All Songs by Michael Behnan except ‘Georgia On A Horn’ by John Jackson
Front Cover Lino Print by Michael Behnan
George Betrok : organ, piano, Fender Rhodes, mellotron, background vocals
Don Bowes : clarinet,
Doug Bowes: acoustic and electric guitars, Fender Rhodes, background vocals
Shelley Coopersmith : fiddle
Tony Desmarteaux : background vocals
Marianne Girard : background vocals
Jack Grunsky : background vocals
Marie-Lynn Hammond : background vocals
J.P. Hovercraft : bass, background vocals
Al Kates: pedal steel
Marilyn Lerner : background vocals
Jim Leslie : background vocals
Alan Soberman : background vocals
Buz Thompson : harmonica
Mad Dog Records MDR-1001
ジャケットを自ら描くSSWといえば、Joni Mitchell をすぐに連想しますが、この Michael Behnan も彼自身によるものです。 独特のタッチのジャケットと裏腹に陽気なメンバーが写る裏ジャケットのアンバランスさが気になるアルバムは、1979 年の作品。 2 枚のレコードを発表して早世した Michael Behnan のファーストアルバムです。 彼はもともと音楽よりは絵描きとしての活動がメインだったようですが、わずかに残されたレコードには彼の才能の片鱗が封印されています。
アルバムはブルースやロック、カントリー系など多様な楽曲が収録されているのですが、A 面ラストの「Stuck Inside This Bottle」の素晴らしさが秀でています。 1 曲だけでそのアルバムの評価が上がってしまうことが稀にありますが、まさにそんなケースと言えます。 ミディアムなバラードなのですが、たとえば Ernie Graham のソロアルバムの持つ「いなたさ」に非常に近い雰囲気を持っているのです。 さりげなくメロトロンがクレジットされているのも興味深いところ。 まさに知られざる名曲といえるでしょう。
次点候補では、リラックスしたムードの「Georgia On A Horn」、トラッド感あふれるワルツ「Night Shift Life」、Marianne Girard とのデュエット曲「Where Did My Street Go?」が上げられます。 いずれにしてもスローテンポの曲に Michael Behnan の持ち味が出やすいと言えるでしょう。
他の曲はシンプルで飾りの無いブルース「Gracie」、「Mouse’s Blues」、骨太のロック「Taxi Song」、「Hero From The War」、そして軽快なロック「Right Where It Hurts」といった曲が並び、シンガーソングライター的な味わいを薄めています。 さらには、カナダ産のレコードに期待しがちなクリーンな空気感も備わっていないために、アルバム全体の評価としては平凡な採点が下っても仕方ないかもしれません。
しかし、僕にとっては「Stuck Inside This Bottle」です。 このレコードを聴くことは、即ちこの曲を聴くことを意味するのです。
さて、Michael Behnan ですが、このアルバムの後に自身のレーベル Mad Dog Records からセカンド「Sweet Cosima」をリリースするも、1982 年に 35 歳の若さで癌のために亡くなっています。 同じ画家で人生のパートナーだった Lynda Lapeer も 2007 年に他界していました。 僕はそのことを、2 人の子息によるメモリアル・サイトで知ったのですが、このサイトのトップページのデザインは素晴らしいですね。 無表情に絵を描く Lynda Lapeer と人なつこそうに電話をする Michael Behnan の対比が 1 枚の写真に収められており、時間を忘れて見入ってしまいました。
まだ入手していない「Sweet Cosima」のジャケットはどうやら Lynda Lapeer の作品のようです。 サイトを検索しているうちに、そうした事実が急に紐解かれ始めました。 早く聴いてみたいという思いは高まる一方ですが、その作品をレコーディングしている頃は、Michael Behnan がすでに癌に冒されていたのかもしれないと思うと複雑な気持ちになります。
■Michael Behnan / Night Shift Life■
Side-1
Gracie
Georgia On A Horn
Right Where It Hurts
Mouse’s Blues
Stuck Inside This Bottle
Side-2
Night Shift Life
Taxi Song
Busted Guitar , Broken Heart
Hero From The War
Where Did My Street Go?
Produced by Doug Bowes
Recorded at Inception Sound Studios, Downsview, Ontario
All Songs by Michael Behnan except ‘Georgia On A Horn’ by John Jackson
Front Cover Lino Print by Michael Behnan
George Betrok : organ, piano, Fender Rhodes, mellotron, background vocals
Don Bowes : clarinet,
Doug Bowes: acoustic and electric guitars, Fender Rhodes, background vocals
Shelley Coopersmith : fiddle
Tony Desmarteaux : background vocals
Marianne Girard : background vocals
Jack Grunsky : background vocals
Marie-Lynn Hammond : background vocals
J.P. Hovercraft : bass, background vocals
Al Kates: pedal steel
Marilyn Lerner : background vocals
Jim Leslie : background vocals
Alan Soberman : background vocals
Buz Thompson : harmonica
Mad Dog Records MDR-1001
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