人生貸越説 ②

　これに反して　他人に不快感を生じさせながら無理やりに得たものは　
借越しである
そしてそれは一時的に自己の所有としたように見えても　その代償として　
支払わねば ならぬ時はきっと生じてくる

　このようなことを　古人は　徳と言った　つまり　徳は　得にも通ずるのだ
そもそも　人に何かを与えるとは　人に喜びを生じさせることに他ならないのだ
　われわれは人を喜ばすための資本を無限に有している
それは必ずしも現金のみとは限らない　それを惜しみなく使い　

人生の記録台帳に貸越し残高の数字をどんどん増やすことだ

徳とは　人間的魅力　と同義語だと思って差支えない　この人間的魅力とは
貸越しの高さと正比例するものなのである　そして　この人間的魅力の増加に伴って
われわれの自己重要感も自動的に高まっていくのである

　人生の記録台帳については　何人にとっても必ず精算の時は訪れる・・それを
忘れないで生きることが大切だ