見晴台学園トピックス

 1990年、学習障害や発達障害の中学生・高校生が学ぶ全国にも珍しい父母立の学園です。

学園親のハナシ16

2015年09月17日 | 父母の声

家では明るくおしゃべりなのに、外へ出ると全く話すことができず、声さえも出せなくなる息子。

6歳の時に「場面緘黙症」と診断されました。


小学校時代はそれほど問題だとは思わず、「周囲と少しくらい違っていてもいい。」と鷹揚に考えていました。

でも中学生になり、卒業後の進路を考えた時、急に焦り出しました。

「みんなと同じようにさせなければ。」という考えにとらわれて、息子に無理ばかりさせるようになりました。

彼の自立のためには絶対に必要なことだと信じて必死でした。毎日息子を泣かせていました。

でも、いくら頑張っても周囲との差は埋められない…本当に悩みました。そんな生活を2年近く続けて、

息子も私も、家族全員が追い詰められた時、ふと思いました。

この方向は間違っている。こんなに頑張っても上手くいかないのは、目指している方向が違うのだ。人と同じじゃなくてもいい。

息子がのびのびと過ごせる場所、息子に合った場所が彼にとって最良の進路だと気付きました。


こうして進んだ見晴台学園で過ごすようになって2年半。息子は大きく変わりました。

家族以外の人とも話せるようになったのです!「今までは何だったの?」と思うほど友達とも自然に話しています。

以前より積極的になり、自分から「〜したい。」と言うことも増えてきました。


なぜ息子はこんなに変われたのか?それは学園では「自分が役に立っている」と感じることができたからだと思います。


小中学校時代、周囲の人たちにとても恵まれていました。いつも優しく接してもらったことには今でも感謝しかありません。


ただ、息子はあくまでも「施してもらう側」。周囲の役に立っているという実感は持てていなかったと思います。

でも、学園では息子がお友達を助けることもあります。息子のしたことに皆が喜んでくれることもあります。

守ってもらうだけではない、対等な関係を持てるようになったことが、大きな自信になり、彼を変えてくれたのではないでしょうか。

そしてそんな関係を築けたのは、学園のように少人数の集団で、一人一人にじっくり向き合ってもらえる環境が彼に合っていたからこそだと思います。


もちろん、将来自立するためには、まだまだ足りないことがたくさんあります。

以前は本人がそれを分かっておらず、私が一人でカリカリしていました。

でも今は学園での活動を通して、息子自身が自分の課題に気付いて、自分なりに解決しようと努力する姿も見られるようになりました。

ペースは本当にゆっくりです。でも一歩一歩少しずつでいいから成長していってくれればいい。

私はその歩みを焦らずに見守っていきたいと思っています。

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