見晴台学園トピックス

 1990年、学習障害や発達障害の中学生・高校生が学ぶ全国にも珍しい父母立の学園です。

高等部本科「技術と人間」 ~その3~

2015年03月23日 | 日々つれづれ

見晴台学園は3学期が終了し、生徒たちは春休みをむかえました。

 

 

さて、技術の人間の取り組みについてのブログ第3弾です。

今回は、デイサービスでおじいさん、おばあさんたちと交流会をしたときのことについてです。

生徒たちでおじいさん、おばあさんたちと楽しめる企画を考え、一緒にレクリエーションを楽しみました。

デイサービス交流会に参加する生徒は音楽が得意!

 

 

 

そんな生徒たちが考えた企画は、3つです。

1.童謡当てクイズ

  ⇒リコーダーで童謡を演奏して、それが何の曲か当ててもらうゲームです。以下の5曲を演奏しました。

  ①うさぎとかめ ②ふるさと ③はるがきた ④夕焼け小焼け ⑤うみ

2.巨大折り紙

  ⇒90センチメートル四方の大きな折り紙をおじいさん、おばあさんと一緒に5~6人で協力して折りました。

3.ハンドベル演奏

  ⇒坂本九さんの「うえをむいてあるこう」を演奏しました。

 どの企画にも温かな大拍手をいただき、生徒たちもうれしそうでした。

 

 

↑巨大折り紙で鶴を折った場面の写真です。力を合わせて、おじいさんおばあさんにリードしてもらいつつ大きな鶴が完成しました。

 

 

レクリエーションの後は、おやつをいただきおしゃべりをしました。慣れない場所に最初は戸惑っていた生徒たちですが、序々に緊張もほぐれ、楽しそうにおしゃべりをしている姿を見ることができました。

 

↑最後に手作りのキレイなネックレスをプレゼントにいただきました。

交流を終えた生徒たちは、「楽しかった」「元気をもらった」などと話していました。

 

 

今年度の最後の授業では、「技術と人間~その1~」のブログの警察チーム、「技術と人間~その2~」の地下鉄交通局チーム、今回のブログのデイサービスチーム、みんなで取り組み報告会を行いました。

教えていただいたことや、わかったことをみんなで伝えあい学習しました。

なかなかできない体験をして思い出に残ったようです。

  


学園の親のハナシ11

2015年03月17日 | 父母の声

私は障がいのある人たちの就労を支援する仕事をしています。
子どもの将来を考える時、働く場はあるの?どんな力が必要なの?と不安や
疑問はいっぱい・・それならば実際にみてみよう‼
そんな気持ちで今の仕事に就きました。

家族がまず気になるのは賃金の事、月にいくらもらえれば生活できるの?
障害年金と合わせて・・親の思いは同じ、
色々考えるけれど、聞いてみれば、

[身の回りの事は全てお母さんがやってくれていて、ご飯も炊けない]
[お金の管理は全てお父さん、将来の事を考えてすべて貯金しています]
そんな状況の方が沢山います。

なぜ働くのか?得たお金をどう使うか?
楽しみや使い方を知らなければ充足感は得られません。

具体的に言えば自分が何が食べたいのか?
それを食べるためには、どこに買いに行くのか?どう調理するのか?
そこで初めて自分で働いて得たお金が活躍するのにお金と生活が結びつかない事が多くあります。

又、賃金を優先させて自分の苦手な職種を選んだり、
無理をしすぎて心の病気になってしまう人もたくさんいます。

そんな時今までに幾度となく聞いた「自立」ということばを思い出します。
ある時期私の中にも 自立=生活=就労<経済>という思いがありましたが、
もっと大切な事を実感します。

私なりの自立=自分には得意不得意があることを知り、
苦手なことや起こった問題は自己+周囲の力によって回避でき、
好きなものがあり、<仕事も含め>楽しい、
生まれてきてよかったと自己肯定感を持って生活できる事。
その為に自分なりの選択をしていく事。

そんな風に思います。

 

今年、専攻科2年となる娘の最近の悩みは、
幼くみられがちな容姿をどう年相応までひきあげるか、
研究論文のテーマそしてその後の進路です。

「今までは、お父さんとお母さんが決めてくれたことが多かったけど、
今度は自分で決めなきゃね、自分の事だしもう大人だからね」

・・本当に成長しました。

これも見晴台での一日一日があったからこそ。
懸命に悩み、考え、飛び立とうとする娘の自立を、
良い距離をとって見守っていこうと思います。


高等部本科 「技術と人間」 ~その2~

2015年03月12日 | 日々つれづれ

本科の授業「技術と人間」の紹介をします。

この授業では、現在3つのチームに分かれて学習を行っています。
前回は警察チームの紹介をしました。

今回は交通局チームの紹介です。
このチームは、地下鉄車内でのマナーや緊急時の対応の仕方について学んでいます。
学園に通う生徒の多くが利用している地下鉄八田駅で駅員さんからお話を聞きました。

 

はじめに、駅長室に案内され、駅長室の中にある設備について教えていただきました。
駅長室では、火災が起きた場所や防犯カメラの様子、電車の運行状況などがわかるようになっています。



ホームには、電話が備え付けてあり、駅長室と直接話ができるようになっていたり、緊急停止ボタンで線路内に人が落ちたときには、電車を止めることができるようになっていたりします。
いつも利用している八田駅ですが、電話の場所や停止ボタンの場所など知らないことがたくさんあり勉強になりました。



また、普段は見られない券売機の裏側や非常口も見せていただいたり、生徒からの質問にも答えていただいたりして、とても充実した時間を過ごすことができました。

今回学んだ内容を他の生徒と共有できるように準備を進めていきます。


学園の親のハナシ10

2015年03月03日 | 父母の声
学園に入学するまでと入学後2年間のことは、2015年度学園案内に書きましたので
今回は“文章を書く”ということに関して、息子の変化(成長)をお話ししようと思います。

息子は小学校時代、学校で文章を自分一人の力で、書いたことがないようでした。
国語のノートはほとんど白紙。短い一文でさえ途中まで。
卒業文集は、不登校中だったこともあり、家で苦労して書かせました。
結局書けないまま、書かないまま過ぎてきました。

学園に入ってからは、文章を書く機会が多く
特に各学期末に学園独自の“評価票”(成績表にかわる位置づけ)というものがあり
生徒、教員、親それぞれが文章で書き、一つのものをつくります。
生徒にはふり返りがしやすいように、色々な項目が書かれた紙を先生が用意して下さり
それに記入し、最後に一つの文章にまとめるのですが
これが大変な作業で、ほぼ一週間かけて取り組みます。

ずっとやらずにすんできたことなので、はじめのうちは、面倒くさい!書くことがない!
さらには自分に向き合うことが苦手で、出来なかったこと、嫌だったことは思い出したくない!
楽しかったことしか書きたくない!それがなければ書くことはない!と
1、2年生のころは相当苦痛な一週間だったようです。

そんな息子に学園の先生は、本人の様子をみながら声をかけて
少しでも自分から書けるように促し
少しでも書けるとそれを褒めて認めて下さいました。
本当に書くことを教えるのは時間と労力のいることです。

学園生活も4年が過ぎようとしている今
苦手意識はまだまだあるものの、書く技術だけではなく
自分の気持ちを素直に書くことができるようになってきたと感じています。
また、「もう携帯に入れた(入力した)から。あとは紙に書くだけ」と言って
びっくりさせられることもよくあります。

高等部5年目(専攻科2年)は研究論文を書きますが
入学当初は論文なんて息子には無理!と内心思っていました。
でも今年度専攻科1年で研究論文演習に取り組んでいた姿や出来上がったものを見て
本番の論文にはまだまだかもしれませんが
こんなことが出来るようになったんだなと、本当に驚いています(嬉)。

今年はいよいよ学園最後の年。
また大きく成長してくれるのを見守っていきたいと思います。