貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

隻鳧の別れ!

2022-01-14 15:56:36 | 日記
令和4年1月14日(金)
行く者の悲しみ
    残る者のうらみ
隻鳧(せきふ)の 
  別れて雪に 
    迷ふがごとし
 「隻鳧の別れ」とは何か。
 鳧とは「ケリ」という鳥で、
鳩に似ているが、
脚が長いと辞書にある。
 二羽連れだって旅をするうち、
一羽が別れて帰り、
もう一羽は留まることとある。
 蘇武という武帝に仕えていた人が、
匈奴に捕まり、十九年の抑留生活の末、
匈奴との和解が成立して、長安に帰る。
 この和解の成立には、
蘇武が雁の脚に結んで置いた手紙が
天子の射止めた雁であり、
匈奴との和解ができたそうだ。
 雁の代わりに鳧に見立てられた蘇武が、
友人一人残して長安に帰る。
 長年一緒に抑留されていた人が、
別れていくのを、
芭蕉が曽良との別れに擬した
という訳である。