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イングマール・ベルイマン監督『野いちご』

2008-01-24 15:54:01 | ノンジャンル
 スカパーの260チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」で、イングマール・ベルイマン監督・脚本の'57年作品「野いちご」を久しぶりに見ました。
 人々の会話の低俗さに人との付き合いを断ったのですが、年老いた今では孤独に苦しめられている78才のイーサム・ボルイ(ヴィクトル・シューストレム)は、それでも科学に貢献でき、子供ができない結婚した息子もいて、母も健在です。妻は昔に死にました。明日、名誉博士号を受ける夜、イーサムは奇妙な夢を見ます。無人の町。針のない時計。顔がくしゃっとつぶれて倒れて液体になってしまう男。馬車が柱にぶつかり、棺が滑り落ちると、中から自分が手首を握って中に引きずり込もうとします。目を覚まし、息子エヴァールト(グンナール・ビョルンストランド)の妻で家に帰るというマリアン(イングリット・チューリン)と一緒に授賞式に車で向かいます。マリアンからイーサクはエゴイストだと非難され、ショックを受けます。イーサクは途中で自分が産まれ育った家に寄り、野いちごを見つけて感傷的になり、夢の中で自分の青年時代に入って行きます。そこでは、弟のジーグフリードが自分のいとこで婚約者でもあるサーラを口説き、家では全員そろって夕食を食べ、威圧的な母が子供たちに注意します。サーラは(ビビ・アンデルセン)イーサクが立派すぎて、自分は釣り合わないと言い、ジーグフリードに言い寄られてイーサクに申し訳ない気持ちだと言います。アーロン叔父の誕生日が祝われ、楽しい気分になっている時、娘(ビビ・アンデルセン)の声で現実に引き戻されます。ここは今では娘の土地で、自分の名前はサーラだと言います。イーサクは彼女と彼女の男友達2人を乗せてやる事にします。交通事故に巻き込まれ、車が動かなくなった夫婦も乗せてやりますが、車の中で夫婦ゲンカをするので、降ろします。母の住む土地では、カソリンスタンドの店員が、ここの住民は皆ここで開業医をしていたイーサムを恩人だと思っていると言うので、イーサムはここにずっといれば良かったと後悔します。昼食の時に開業医だった時のことを話すと皆楽しんでくれました。信仰の話になり、イーサクが詩を語ると、皆感動します。イーサクとマリアンはイーサクの母を訪れ、思い出の品をいくつかもらいます。運転をマリアンに替わってもらったイーサクはまた夢を見ます。サーラが鏡を出して、「これが今のあなたよ」と老いた姿を写します。サーラはジーグフリードと結婚していて、赤ん坊の面倒を見ます。サーラとジーグフリードの仲睦まじい様子を窓の外から見て、ドアを叩くと入れてくれ、案内された部屋は教室で、生徒がいる中でテストを受けさせられます。結果は有罪で、次に診察させられた患者は死んでいるのに笑い出し、次は死んだ妻の男との密会の場面を見せられ、イーサクに孤独の罰が下されます。目が覚めると、マリアンが妊娠したことを夫に告げると、自分を取るか子供を取るか決めろと言われ、子供を取ることに決めたと言います。青年たちはイーサクの博士号授与を祝って野で摘んだ花の花束をくれます。パレードの後、名誉博士号を授与され、3人の若者は夜に彼の窓の下で音楽を奏でてくれ、別れを告げます。マリアンとエヴァールトも踊りに行く前に、ベッドのイーサクに挨拶に来ます。イーサクはいつも寝る前にするように、若かった頃を回想します。サーラと散歩するイーサク。釣りをする子供たち。平和で楽しい時間がそこには流れているのでした。

 映画賞を多く受賞し、ベルイマンが国際的に認められるきっかけとなった映画です。中でも印象的なのはイーサクが一番最初に見る夢で、奇妙な男の顔は忘れられないものです。今後、ベルイマン作品の顔になるイングリット・チューリンやビビ・アンデルセンもこの作品から出演しています。主人公の独白が多いのが特徴で、夢の中に年老いた自分が登場するのも単なる回想シーンを意味豊かなものにしています。ここでもシーンの転換にオーバーラップが多用されていて、独特のリズムを刻んでいます。39才にして老境の心象風景を撮れるというのはベルイマンがやはり優れた監督であることの証しでしょう。まだ見てない方にはオススメです。ちなみに、主人公を演じているヴィクトル・シューストレムは無声映画の時代に傑作を多く撮った大監督です。

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