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春日武彦『天才だもの。 わたしたちは異常な存在をどう見てきたのか』

2011-01-14 02:06:00 | ノンジャンル
 最新号の『文學界』での山田詠美さんと村上龍さんとの対談の中で、自殺を止めることができるものとしての小説について語られていました。YouTubeでAKB48の「Baby! Baby! Baby!」の動画を見た時にも、「これを見て、自殺を思いとどまる人もいるのだろうな」と思ったことを思い出し、詠美さんらと同じように考えたことがちょっと誇らしく思えたりもしました。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、春日武彦さんの'10年作品『天才だもの。 わたしたちは異常な存在をどう見てきたのか』を読みました。天才とは何かを、具体的な名前やエピソードを挙げながら論じた本です。
 取り上げられている名前は、サマセット・モームの短編『ロータス・イーター』の「私」、井上靖、深沢七郎、杉田久女、松本清張の長編『天才画の女』の主人公・降田良子、ゴッホ、エルヴィン・ニレジハージ、東郷青児、ジョルジュ・モランディ、ベルナール・ビュッフェ、花山吟一、シリ・ハストヴェットの短編集『目かくし』に登場するジョージ、石川啄木、杉浦茂、ニコラ・テスラなどなど。そして著者自身が体験した様々なエピソードがふんだんに紹介されています。その中で様々な天才に対する定義が紹介されているのですが、結局著者は最後に、宮城音弥の「社会的適応性を犠牲にして創造作用を行う人間」という定義に最も心惹かれると語っています。
 天才がいかに異常な存在であっても、天才自身が自らの存在を認めることのできる手立てというものを、この本が提供してくれるのではと、期待して読み始めたのですが、著者による天才に関するエッセイといった感じの本で期待外れでした。ただ、奇矯な人物が次々に紹介されているので、そうした点では楽しめました。奇人伝として読むと面白いかもしれません。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

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