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リンダ・シガー『ハリウッド・リライティング・バイブル』

2012-02-14 10:17:00 | ノンジャンル
 昨夜WOWOW2で放映されたグラミー賞授賞式を見ました。受賞曲について私にとって今年は外れ年でしたが、今年もわずかながらも『It Had to be You』を歌ったトニー・ベネットの声が聞けたのが収穫でした。またアントニオ・カルロス・ジョビンが今さらながらに功労賞を受賞しているのを知り、ボサノヴァが日本以外では評価が低いことを再認識もしました。

 岡野宏文×豊崎由美『読まずに小説書けますか』の中で取り上げられている、リンダ・シガーの'94年作品『ハリウッド・リライティング・バイブル』を読みました。
 冒頭の部分に「この本の意図は、決してハリウッド流のストーリーを語る技術を伝えることではない。ストーリー・ストラクチャーの基本原則は古代ギリシャ時代にアリストテレスがその基礎を築き、その後、世界中の偉大な作家やストーリーテラーたちによってさらに発展してきたものである。」と書いてありますが、実際にはハリウッド映画120分で1分は脚本1ページ分に当たるとして、もっぱらハリウッド映画の脚本の構造に言及しています。
 先ず、アイディアをインデックス・カードに書き込み、それをもとにあらすじを考えます。ストーリーは3幕構成が最良とされ、登場人物たちの状況を示すセットアップから始まり、20ページ辺りに最初のターニングポイントが置かれ、75~90ページ辺りに第二のターニングポイント、そしてエンディングから5ページ前辺りのクライマックスへと至ります。セットアップではストーリーを始動させる出来事(カタリスト)が主人公の行動として描かれ、登場人物が目指すべき目標が示されます。その後、第一のターニングポイントまでのアクト1では、登場人物についての情報、、バック・ストーリーやシチュエーションについてのさらなる情報、セントラル・コンフリクト(主な葛藤)は何なのか、アンタゴニスト(敵対者)は誰なのかが描かれます。第一のターニングポイントでストーリーに新たな展開が起こり、第二のターニングポイントでも同じく新たな展開が用意されますが、ここではクライマックスに向けてテンポを速めるというさらなる役割があります。また、脚本全体の真ん中に新たな展開を見せるミッド・ポイント・シーンがあれば、なおいいとされます。
 全体のストーリーをメイン・プロットとすれば、個々の登場人物間のサブ・プロットも存在し、それがメイン・プロットとしっかりとした関係を保つことによって脚本により深みが増すことにもなります。それ以外にもアクト2のストーリーの勢いを持続させるものとして、バリア(障壁)、コンプリケーション(複雑化)、リバーサル(逆転)、シーン・シークエンスが提示され、シーンを作るこつが説明され、統一感のある脚本を作るものとしては、フォーシャドゥイングとペイオフ、モチーフ、反復と対比があることが語られます。そしてその後、アイデアに磨きをかけるためにできること、キャラクターに磨きをかけるためにできることが語られ、最後に『ジョン・ブック/目撃者』がどのようにして脚本に手が入れられ、アカデミー賞を取ることになったかが語られます。
 この本で最良の脚本の手本として取り上げられている『ジョン・ブック/目撃者』や、それ以外に成功した脚本例として挙げられている映画の数々に私はあまり思い入れがなかったため、距離を取って読まざるを得ませんでしたが、メイン・プロットとサブ・プロットをめぐる議論には「なるほど」と思わせるところがあり、実際に言及されている映画の題名が82もあることもあって、映画の好きな方ならそれなりに興味を持って読めるかもしれません。絶版になりながら5000円前後の値段がつく人気のある本でもあることを付け加えておきたいと思います。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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