gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

斎藤美奈子さんのコラム・その104&前川喜平さんのコラム・その65

2022-01-29 00:08:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず1月19日に掲載された「議論が9割」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「昨年一番売れた本は永松茂久『人は話し方が9割』だった。ものすごく今っぽい本である。
 話している相手をけっして否定しない。自分が「話す」のではなく、相手の話を「広げる」。「正しい話」より「好かれる話」をしよう。「好かれる」前にまず「嫌われない」努力をしよう。
 こんな教えがいっぱいで、要は衝突しない話し方のオンパレード。議論は極力したくない。激論なんてもってのほか。「口は悪いが本当はいい人」などいないそうで、嫌いな人と無理に話す必要はないし、苦手な相手に遭遇したら逃げるが勝ち。
これじゃ議論も廃れるはずだ。「聞く力」を強調し、激論になりそうな案件を施政方針演説から外した岸田首相も、「野党は批判ばかり」という声にビビッて「批判より提案」の方向に逃げを打った立憲民主党の泉代表も、この本の読者だったのかもしれない。
 でもさ、人生も国会もそれだけじゃダメなのよね。生きていれば、どうしても相手を批判しなければならない場面、自己主張をしなければならない局面というてのがあって、コミュニケーション術は本来そういうときのためにあるはずだし、野党もそのために存在する。
 本日から国会での論戦がはじまる。有権者に好かれる話術に意味があるのは選挙戦までだ。国会は議論が9割、衝突を恐れるな」。

 また、1月23日に掲載された「佐渡金山を世界遺産に」と題された前川さんのコラム。
「昨年の暮れに文化審議会が佐渡金山をユネスコ世界文化遺産への推薦案件として選定した際、文化庁は今後政府内で総合的に検討すると異例の注釈を付けた。韓国政府の反発を予見していたのだろう。佐渡金山は戦時中に動員され連行された朝鮮半島出身者が過酷な坑内労働に従事させられた現場だ。案の定、韓国政府は撤回を求めるコメントを発表した。
 韓国の反発には理由がある。軍艦島(端島炭坑)など明治産業革命遺産が2015年に世界遺産に登録された際、日本政府は「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者」の存在を認め「犠牲者を記憶にとどめる」情報センターの設置を公約した。ところが20年6月、東京・新宿に設けた産業遺産情報センターには公約した内容の展示がなかった。世界遺産委員会は21年7月、情報センターでの説明が不十分だとして改善を求める決議をした。この問題を放置したままで佐渡金山の登録が認められるはずがない。
 今年の推薦を見送ろうとする政府に対し、自民党の高市政調会長や「保安団結の会」の議員たちは強硬に推薦を求めている。僕も佐渡金山は世界遺産にふさわしいと思うが、それは負の歴史も含めての話だ。まずは産業遺産情報センターについて国際公約を果たすことが先決だろう。」

そして、1月26日に掲載された「当主のご乱心」と題された斎藤さんのコラム。
「この国では、数年の一度、与党軍と野党軍の間で天下分け目の戦(いくさ)が行われる。もっともこのところは与党軍の圧勝が続いており、城下の人々は悪政に苦しんでいた。
 ことの発端は、野党軍を長く陰から支えてきた連豪家ほ当主ひ芳野御前が選ばれたことだった。何を思ったか、就任早々芳野は野党軍の要である立剣家との協力関係を破棄するといいだした。
 「妾(わらわ)は立剣家と同盟を結んでいる京算家が気に入りませぬ。京算と手を切らぬ限り、今後立剣に協力するつもりはないから、そのつもりで」
 突然の心変わりに驚いたのは立剣家の重臣。
 「ま、まこごか。京算と共闘しない限り与党軍に勝つことはできぬ。それは芳野殿とてご存じのはず。連豪は与党軍を利するつもりか」
 歴史をさかのぼれば、連豪家と京算家はもともと犬猿の仲だった。とはいえ今は非常時。同盟相手を好む好まぬといっている場合ではない。
 「このままでは士気にかかわる。この際、連豪を切るべきではござらぬか」と意見する家臣もいたが、戦のたびに兵の動員を連豪に頼ってきた立剣家にはそれもできない。その一方では、与党軍の地民家当主が芳野御前に秋波を送り、さらにこの内紛をひそかに歓迎している勢力もあった。新興の異芯家である。
 決戦は半年後。剣呑(けんのん)な日々が当分続きそうである。」

 どの文章も一読に値するものだと思いました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿