野村進さんが'03年に出した「救急精神病棟」を読みました。自分も精神病院に3ヶ月ほど入院したことがあり、めったに味わえない体験をしていたので、前から精神病院に関するルポルタージュを読んでみたいと思っていたのが、読んだ動機です。
本の内容は日本で、あるいは世界で唯一の24時間対応の精神科救急を行なっている千葉県精神科医療センターに関するルポルタージュです。間宮という架空の研修医に著者がなったという設定で、病院内で起こることを、精神科の歴史的背景を含めて、体験していく構造になっています。
先ず驚いたのは、各国の精神科の平均入院日数です。千葉県精神科医療センターでは全国の367.5日を大幅に下回る38.4日の実績を出しているのですが、これが欧米になると、アメリカが8日、オーストラリアが13日、イタリアが15日、カナダが22日、フィンランドが41日といった具合で、信じられない短さになっています。私の場合、最初の1ヶ月は入院生活に慣れるのに使われ、実際に精神状態が上向いたのはそれよりも後だったように記憶しています。欧米各国でなぜこれまでに入院日数を短くできるのか、謎です。ただ、日本では平均で約1年の入院日数というのは、非常に長期に渡って入院している人がいるせいでもあり、昔からの「キチガイは精神病院に一生隔離しておけばいい」という思想がまだ残っているせいだ、とも書いてありました。実際に私が通院している精神病院にも長期入院患者が相当数います。
そして日本の入院患者の4分の1が精神病患者で、おまけに医療費全体に精神科が占める割合はわずか6%余りにしかすぎない、つまりそれだけ精神科の医療費が安いという事実を知りました。そこから波及していることかもしれませんが、精神科以外での病院では患者16人につき一人の医師がいるのに対し、精神科では患者40人に1人の医師しかいない、というのです。
ただ、こうした現状は急速に改善されているのは事実で、この本が書かれた5年前はキチガイの代名詞という意味もあった「分裂病」という言葉が使われていましたが、現在は「統合失調症」という名前で呼ばれるようになり、「分裂病」という言葉はほとんど使われなくなりました。また、5年前当時は数えるほどしかなかった、退院後に患者さんが集う場所であるデイケアを設置する病院も増え、大きな精神科の病院はほとんどに設置されるようになっています。
この本には実際の患者さんのケースが数多く書かれていて、それだけでもとても興味深く読めました。精神病に少しでも関心のある方にはオススメです。
本の内容は日本で、あるいは世界で唯一の24時間対応の精神科救急を行なっている千葉県精神科医療センターに関するルポルタージュです。間宮という架空の研修医に著者がなったという設定で、病院内で起こることを、精神科の歴史的背景を含めて、体験していく構造になっています。
先ず驚いたのは、各国の精神科の平均入院日数です。千葉県精神科医療センターでは全国の367.5日を大幅に下回る38.4日の実績を出しているのですが、これが欧米になると、アメリカが8日、オーストラリアが13日、イタリアが15日、カナダが22日、フィンランドが41日といった具合で、信じられない短さになっています。私の場合、最初の1ヶ月は入院生活に慣れるのに使われ、実際に精神状態が上向いたのはそれよりも後だったように記憶しています。欧米各国でなぜこれまでに入院日数を短くできるのか、謎です。ただ、日本では平均で約1年の入院日数というのは、非常に長期に渡って入院している人がいるせいでもあり、昔からの「キチガイは精神病院に一生隔離しておけばいい」という思想がまだ残っているせいだ、とも書いてありました。実際に私が通院している精神病院にも長期入院患者が相当数います。
そして日本の入院患者の4分の1が精神病患者で、おまけに医療費全体に精神科が占める割合はわずか6%余りにしかすぎない、つまりそれだけ精神科の医療費が安いという事実を知りました。そこから波及していることかもしれませんが、精神科以外での病院では患者16人につき一人の医師がいるのに対し、精神科では患者40人に1人の医師しかいない、というのです。
ただ、こうした現状は急速に改善されているのは事実で、この本が書かれた5年前はキチガイの代名詞という意味もあった「分裂病」という言葉が使われていましたが、現在は「統合失調症」という名前で呼ばれるようになり、「分裂病」という言葉はほとんど使われなくなりました。また、5年前当時は数えるほどしかなかった、退院後に患者さんが集う場所であるデイケアを設置する病院も増え、大きな精神科の病院はほとんどに設置されるようになっています。
この本には実際の患者さんのケースが数多く書かれていて、それだけでもとても興味深く読めました。精神病に少しでも関心のある方にはオススメです。
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