gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

日本・中国・韓国3国共同編集『新しい東アジアの近現代史(上)』

2013-12-28 10:31:00 | ノンジャンル
 今日はビルとラファロが54年前に『Portrait In Jazz』をスタジオ録音した記念すべき日です。改めて、彼らの素晴らしい音楽に、感謝したいと思います。

 さて、'12年に刊行された、日本・中国・韓国3国共同編集『新しい東アジアの近現代史(上)』(副題「国際関係の変動で読む 未来をひらく歴史」)を読みました。まえがきから一部引用させいていただくと、「'05年5月に日本・中国・韓国共同編集の『未来をひらく歴史』を刊行した。それは、私たちの予想を越えて大きな反響を呼び、日中韓3国で30万部以上が発行された。(中略)しかし、『未来をひらく歴史』に対しては、その限界や問題点の指摘もあった。『共通の歴史認識』が十分にあらわれず、未来の平和よりも日本のあやまちを批判することに重点をおき過ぎたという意見、とくに、『東アジア』の観点で歴史を見ると言いながら、実際には日中韓3国の近現代史を並列することにとどまったという批判は、『未来をひらく歴史』の核心的な問題点を指摘するものだった。(中略)
 『未来をひらく歴史』では、日中韓3国の学生と市民が近現代の歴史的事実を正確に理解し、あやまった歴史認識を直すことに焦点をおいた。そのために3国の間で争点となるトピックや事実を中心に内容を構成した。これに対して〈新書〉(本書のこと)では、東アジア近現代史の変化を世界史の流れと関連させて体系的に理解することに目標をおいた。そのため各国史を該当国の委員が執筆する方式を捨てて、章別に執筆を分担し、東アジア近現代史の構造的な変動に焦点をあてて叙述することにした。日中韓3国の国家体制と相互関係の構造的変動を東アジアの国際関係のなかでとらえること、東アジアだけでなく、東アジアを取りまく国際関係、とくに欧米との関係の中で把握することに留意した。
 しかし、構造的変動に関する叙述だけでは、そのなかで生きている民衆の具体的な姿が埋もれてしまいかねない。さらに民衆の活動と交流が近現代史の流れとどのようにかかわるのかが見えなくなるおそれもなる。そこで、私たちは、3国の民衆の生活と交流を扱う本を同時につくることにした。すなわち、上巻では東アジア
3国の近現代史の構造的変動を時系列的に扱い、下巻では民衆の生活と交流を主題別に執筆することにしたのである。(後略)」
 実際、上巻は8章に分かれ、私は2章の途中までと、末章の8章を読みました。内容は詳しく、かつ分かりやすいものでしたが、上巻では特に政治的な事件の記述が多く、ページにびっしりと詰まった活字を目で追うことの負担の方が、内容の面白さを楽しむ度合いを上回ってしまい、全部を読まずに途中で投げ出してしまいました。これは本の執筆者の責任というよりも、東アジアの近現代史を担った人物たちがいかにくだらない政争に明け暮れていたか、あるいはそうしたことに私自身があまり興味を持っていないことを証明したのだと思います。ちなみに末章の「冷戦体制崩壊後の東アジア」の目次を書いてみると、「1節 冷戦体制の崩壊と東アジア」(東欧社会主義とソ連の解体による冷戦体制の崩壊/アメリカの新世界戦略と日本/日米同盟の強化と日本の右傾化/米韓同盟の変化)、「2節 東アジア地域のグローバル化と政治変動」(ソ韓、中韓の国交樹立と中ソ対立の解消/中国の改革・開放とグローバル化/韓国政治の民主化とグローバル化/北朝鮮をめぐる緊張関係の継続)、「3節 東アジアの経済協力と民間交流」(東アジア自由貿易地域の創設へ/民間交流、大衆文化交流の促進)、「4節 東アジアの平和構築への課題」(東アジアに残る冷戦の構図/東アジアの平和構築へ向けて)となっていて、冷戦後、“世界の警察”を名乗るアメリカがいかに日本を含めた周辺国を巻き込んでいったかが具体的に描かれ、また韓流ブームなどもしっかりと記述されていて、好感が持てました。昨年出版されて間もないということもあるかもしれませんが、定価税込2625円のところをアマゾンで2200円代で取引されているということは、“信頼のおける教科書”として評価されているということでしょう。全部を読んでから売るか、それとも常に身近に置いておくか、悩むところです。それほどの魅力に満ちた本であったと思います。

→「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

最新の画像もっと見る

コメントを投稿