川上未映子さんの'09年作品「ヘヴン」を読みました。
中学2年で斜視の僕はそれが理由で、学校で優等生をリーダーとするグループから暴力的な虐めを日常的に受けていますが、ある日筆箱の中に「私はあなたの仲間です」と書いてある紙を発見します。また新手の虐めと思いますが、手紙は机の中に場所を移して続き、ついに場所と時間を指定して会おうと言ってきます。そこで会ったのはやはりクラスで虐められているコジマでした。彼女は母に離婚された父を思うためにわざと自分の体を不潔にしているのだと言い、それからも二人は手紙を交換し、何度か直接会って話をします。ある日、僕は体育館に連れ込まれてひどいケガを負いますが、その場をコジマに見られていて、彼女は私たちは彼らを受け入れているのであって、弱い立場を選びとっていることが分かったのだと誇らし気に言います。僕はケガの治療のため病院に行った時、たったの1万5千円で斜視を治す手術が受けられることを知り、それをコジマに告げますが、彼女は僕を裏切り者扱いして去ります。それからコジマは僕を決して見ることがなくなりますが、僕は彼女に手紙を送り続け、ついにもう一度会ってくれるという返事をもらいます。しかし約束の場所に行ってみると、そこにはコジマだけでなく、男女の虐めのグループもいて、彼らの罠だったことを知ります。彼らは僕らにその場でセックスしろと言い出し、僕をブリーフだけの姿にし、彼女の服も脱がせろと言います。僕は石を手に持ちリーダーに襲いかかろうとしますが、コジマはそれを止め、自ら服を脱いで全裸になり、虐めのグループの連中を笑いながらなでてまわっているところを、人に見つかって僕らは保護されます。僕は母にこれまでの体験をすべて話すと、母はもう学校など行かなくていいと言い、僕は斜視の手術を受けることになります。そして手術後、僕の見た世界は今まで見たこともない素晴らしい世界だったのでした。
虐めの場面の凄まじさは吐き気を催すほどで、「僕」が登場人物とかわす会話も平易な文章ながら中学生とは思えない哲学的なものでしたが、彼らの思いはストレートに伝わってきました。虐めを扱っている小説ですが、不思議に惹き付けられる小説です。青春小説が好きな方にはオススメです。
中学2年で斜視の僕はそれが理由で、学校で優等生をリーダーとするグループから暴力的な虐めを日常的に受けていますが、ある日筆箱の中に「私はあなたの仲間です」と書いてある紙を発見します。また新手の虐めと思いますが、手紙は机の中に場所を移して続き、ついに場所と時間を指定して会おうと言ってきます。そこで会ったのはやはりクラスで虐められているコジマでした。彼女は母に離婚された父を思うためにわざと自分の体を不潔にしているのだと言い、それからも二人は手紙を交換し、何度か直接会って話をします。ある日、僕は体育館に連れ込まれてひどいケガを負いますが、その場をコジマに見られていて、彼女は私たちは彼らを受け入れているのであって、弱い立場を選びとっていることが分かったのだと誇らし気に言います。僕はケガの治療のため病院に行った時、たったの1万5千円で斜視を治す手術が受けられることを知り、それをコジマに告げますが、彼女は僕を裏切り者扱いして去ります。それからコジマは僕を決して見ることがなくなりますが、僕は彼女に手紙を送り続け、ついにもう一度会ってくれるという返事をもらいます。しかし約束の場所に行ってみると、そこにはコジマだけでなく、男女の虐めのグループもいて、彼らの罠だったことを知ります。彼らは僕らにその場でセックスしろと言い出し、僕をブリーフだけの姿にし、彼女の服も脱がせろと言います。僕は石を手に持ちリーダーに襲いかかろうとしますが、コジマはそれを止め、自ら服を脱いで全裸になり、虐めのグループの連中を笑いながらなでてまわっているところを、人に見つかって僕らは保護されます。僕は母にこれまでの体験をすべて話すと、母はもう学校など行かなくていいと言い、僕は斜視の手術を受けることになります。そして手術後、僕の見た世界は今まで見たこともない素晴らしい世界だったのでした。
虐めの場面の凄まじさは吐き気を催すほどで、「僕」が登場人物とかわす会話も平易な文章ながら中学生とは思えない哲学的なものでしたが、彼らの思いはストレートに伝わってきました。虐めを扱っている小説ですが、不思議に惹き付けられる小説です。青春小説が好きな方にはオススメです。
久々のカキコになりますマチルダさんにも薦められたので川上未映子「ヘヴン」を読んでみました
イジメがテーマですが…
オイラは「僕」がいつ爆発するかと思い読んでいました
イジメの内容はかなり暴力が激しくて…「僕」は大丈夫かな?と心配して読んでいました
いつの間にか自分のイジメ体験やなんかとリンクして、不良に「非暴力不服従」を貫いていた中学2年の頃や、イジメる同級生を机に押し倒して振り上げた手を静かに下ろした中3の頃のことなどを思い出しました
オイラは全裸にされたことはありませんけど、最近のイジメ報道では裸にして携帯で撮影されたなどと聞いていたので、今のイジメならあり得るなと思いました
少年「僕」や少女「コジマ」の「同志」のプラトニックラヴ?には、思春期の純愛?の儚さみたいなものを感じました
百瀬という理屈っぽい現代っ子の鏡のような全てに関して無関心な少年と僕のやり取りは、哲学的な会話ですが、百瀬は「鬼」か悪魔かと思いました
コジマがはじめの方で言った、天国も地獄もみんなこの現世にあるみたいなことには、オイラもそんなことを考えたことがあります前にどこかでカキコしましたがジョン・レノンの「イマジン」の空の上に天国は無く…地面の下に地獄は無いという歌詞に対して、天国がなければ人は救われないですみたいなことを書き込みましたけど…
現世と来世とか…
人々の想いは季節の移ろいのように流れては繰り返されて行くのでしょうか?
ちょっと脱線しますが、最近人類の自然破壊は…地球の環境破壊はもう壊滅的な状況かな?なんて雑誌の記事を見ていて思いましたコジマが「ヘヴン」と名付けた絵を見て感じたことと、斜視が治った僕がいつもの「並木道で見た黄金色の景色」は、届かない幸せや夢に対して、今までに知らなかった新しさがあり美しさがあったということが共通点なのでしょうか?
とにかく、オイラは歴史小説と純文学と雑誌しか読んで来なかったので、ミキティさんのオススメのように青春映画のようにこの「ヘヴン」を読めました
中々、興味深いハナシでした
前のコメント文字数オーバーしてしまいました
「僕」はとても純粋な少年だと思いました
斜視の治った目で見た景色が正にヘヴンだったっていう訳なのですね
コジマとは逢えなくなってしまったけど未来に明るい光を感じる終わり方が良かったです
スミやん阪神広島に快勝藤浪5勝目研究所(*^.^*)
「天国と地獄」という発想は、現世においてどうしようもなく苦しい立場に追い込まれている人たちが、救いとして思い描く世界なのかもしれません。
私が『ヘヴン』を読んで一番気になったのは、今後のコジマの生き方で、「僕」がイジメの世界から抜け出した後、彼女の孤独な戦いが今後も続くと思って暗澹たる気持ちになったことを覚えています。
自ら「虐められる」側を選択した彼女に、今後「天国」は用意されているのでしょうか?
おそらく用意されてはいないのでしょう。
そんなことを思わせながら終わった小説でした。
お返事ありがとうございます
さすがミキティさん深い読みですね
「コジマ」はその後確かにどうなるんでしょう?
オイラはコジマは精神が破綻してしましたのかなと感じました
けど主人公は「僕」であるために、コジマはどうなるんだろう?と漠然と思っただけで、最後「僕」にとってはハッピーエンド的な流れで終わっているので、
ミキティさんのように「コジマ」のその後をそこまで深読みしませんでした
でも「僕」も、手術から1日後に眼帯を外して大丈夫なのかな?と少し心配はしました
やはり「僕」にとっても一瞬のヘヴンなのかと…
本当に「コジマ」かわいそうですね
スミやん鳥谷鳥谷鳥谷研究所(*^.^*)
コジマは自分から「虐め」られる側を選択し、
そうすることによって、
自分が絶対に「虐める」側に加担しないという決心を固めているのだと思います。
したがって「僕」が「虐め」られる側からいなくなったとしても、
あくまで「虐め」られる側に徹し、
新たに「虐め」られる側の人間が現れるまで、
孤独な戦いを続けるのだと思います。
したがって、私はコジマが精神的に破綻しているとは思っていません。
自分の立ち位置をはっきりと意識しているだけなのだと思います。
いずれにしても、小説に書かれていた具体的な文章に言及することなく、ストーリーだけで議論することは、あまり健康的なことではないのかもしれません。
これは映画をストーリーの部分だけで語り、
実際に何が写っていたのかを語らないのと似ていると思います。
次回はできましたら、小説の中で書かれている具体的な文章にスポットを当てて語れればいいな、と思っている次第です。
書き込みは全方位的に、いろんな意見があっていいのだと思います。
どのような観点からでもいいので、みなさん、今後とも積極的に書き込みをされることをお願いします。