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沼正三『家畜人ヤプー 完結篇』

2009-09-04 18:08:00 | ノンジャンル
 山田詠美さんが「熱血ポンちゃん膝栗毛」の中で言及していた、沼正三さんの'91年作品「家畜人ヤプー 完結篇」を読みました。
 まず、正篇のあらすじが述べられます。未来からやってきたポーリーンは日本人青年瀬部麟一郎(麟)とその美しい婚約者たるドイツ娘クララに助けられますが、麟はポーリーンが連れていた畜人犬に咬まれ全身麻痺に陥ります。そこで緩解薬を得るために二人は二千年後の宇宙帝国イースに向かいますが、その帝国は女王が君臨する完全なる白人女権社会で、その下に白人に数千倍する半人間の黒人奴隷階級が存し、さらに下層にその何百倍もの家畜人ヤプーがいました。白人の排泄物が黒人の酒やヤプーの薬になり、黒人の排泄物などがヤプーの飼料となります。そして人権のないヤプーは白人女性のセクスに奉仕する舌人形、白人の糞尿を嚥下する肉便器などになるために様々な肉体改造を加えられていました。‥‥。そしていよいよ完結篇が始まるのですが、数ページ読んだところで先に読みすすめることを諦めました。その最大の原因は新語の解説で、例えば「鼻人形(ナーゼ)は『生きた張形』で舌人形(カニリンガ)と並ぶ婦人用性具(ただし、平民女性は、舌人形だけで、鼻人形は使えない)の一種であるが、後者の舌の与える快感が本当のペニスとは違ったものであり得るのと異なり、ペニスを現物どおりに模してあるのが特徴である。それも道理、例の『イース事物起源』によれば、‥‥」といった調子で、説明が延々と続き、それ以外の部分でも物語りの進行より、言葉の説明、歴史の説明のほうが多く、読むのが苦痛になってきたということでした。
 本書は三島由紀夫さんと澁澤龍彦さんに捧げられていて、確かに内容からすると澁澤さんを通じてサドに至るアンチモラリスト的で幻想的な小説になっています。歴史小説が好きな人なら案外読めるかもしれません。バロック的な幻想小説が好きな方にはオススメです。

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