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小山哲&藤原辰史共著『中学生から知りたいウクライナのこと』

2023-02-28 02:17:23 | 日記
 小山哲さんと藤原辰史さんの共著で2022年発行『中学生から知りたいウクライナのこと』を読みました。

 特に印象に残る部分を転載させていただくと、

・(小川&藤原)私たちは、激しい弾圧のもとで、さまざまなやり方で戦争に反対する声をあげ、ウクライナとの連帯を表現する、勇気あるロシアの人びとに、心からの敬意を表明します。

・(藤原)(ヒトラーの時と同じように)今の国際世論もあまりにウラジーミル・プーチン
個人に焦点を当てすぎではないか。

・(藤原)もしかすると(プーチンは)なんらかの病いを抱えているかもしれませんが、それを知ったところで今回の侵攻の背景を正しく理解することにはつながりません。「あいつはくれレージ―だ」という言葉にいちばん癒されるのは、自分の行動はすべて理性的だと思い込んでいる人や、歴史の重みを直視する勇気を持たない人です。そのような態度は知的ではありません。

・(藤原)たとえば、冷戦終結から約十年後の1999年3月、米国大統領のビル・クリントンは、ドイツ首相のゲアハルト・シュレーダーらとともに、ユーゴスラヴィアのセルビア系住民に対するNATOの空爆を国際連合の許可なく実行し、それを78日間にわたってつづけました(コソヴォ空爆)。アルバニア人の虐殺を推し進めるユーゴのスロボダン・ミロシェヴィッチをヒトラーに見立て、ユーゴのアルバニア人の弾圧や難民流出は人道的破局である、という論理で空爆を仕掛けました。しかし、この空爆は、セルビア系による民族浄化をかえって悪化させたと言われています。「人道のための軍事介入」や「平和維持活動」という冷戦終結後のNATOの論理が、今ロシアによって用いられていることを考えずにはいられません。

・(藤原)今回、私たちも悩みながら、いろいろな発信をしたり翻訳をしたりしています。ただ、なんというか、このような状況下では、ほんとうに切羽詰まった状態で発されら言葉には力があって、フェイクを打ち破る可能性が少なからずあると思うんです。逆にいえば、それほどまでにSNSの軽いつぶやきの世界に人びとがはまりすぎているので、体から絞り出される抵抗の言葉は、デジタルネイティヴの世代にも強く響くのではないかと考えています。

・(藤原)つまり、こういう状況になったとき、自分にいちばん刺さる言葉、文章は、結局、歴史家の文章じゃないんですよ。小説家だったり、芸術家だったり、広い意味での「アート」に関わる人たちの紡ぎ出す言葉が、実はいちばんフェイクに屈しない強いメッセージ性を持っている。

・(藤原)低賃金労働者を求める経済的先進地域と、低賃金労働者を送り出す経済的貧困地域。この対比は、新型コロナウイルスのパンデミックのとき、問題視されたことを忘れてはなりません。私たちの生活の土台である食べものの生産にかかわる低賃金労働者が国境を封鎖されて入国できなくなり、経済性清国は慌てて労働者の確保に向かい、特別に労働者だけに国境ゲートを開けたこともありました。食肉加工業で劣悪な労働環境下で低賃金労働を強いられている移民が、アメリカやイギリス、ドイツで集団感染したというニュースも報じられました。

 とても勉強になる本でした。


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