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誉田哲也『ジウ 警視庁特殊犯捜査係[SIT]』

2008-08-29 18:54:29 | ノンジャンル
 誉田哲也さんが'05年12月に出された「ジウ 警視庁特殊犯捜査係[SIT]」を読みました。
 誘拐事件の身代金の受け渡しで、再三場所を変更され、渡し手の母親を捕捉するのが自分と4人だけになった東は、犯人から息子の指を渡されて逆上した母親がタクシーに乗って走り去るのを止められませんでした。
 職質中に警官に包丁で切りつけ、人質を取って立てこもった男に、若い女性警官の門倉美咲が食事を持っていくと、下着以外の服を脱がされ、人質と共に盾にされますが、女性警官の伊崎素子が男を逮捕します。
 下着姿をタブロイド版に載せられた美咲は異動になりますが、異動先で誘拐事件の捜査に参加できるようになり、素子はSATに抜擢されます。
 美咲は誘拐された少年の証言から立てこもり事件を起こした岡村が犯人の一人と特定し、岡村を取り調べることによって、誘拐の主犯は、仲間の中国人からジウと呼ばれていた無国籍の中国人の青年だと分かります。
 岡村の自供から分かった、誘拐時にアジトとして使っていた廃虚を調べると、ジウの仲間の死体が3体見つかります。岡村は、ジウは感情の欠落した男で、平気で人を殺すと言います。美咲たちはジウが廃虚を好んで住処としていたと聞き、都内の廃虚をしらみつぶしに調べた結果、ジウの住処を突き止め、見張っていると、新たな少女誘拐を実行した犯人たちが戻ってきます。美咲の上司・東は人質の居場所を探るうちに犯人たちの手に落ち、素子を含むSATが忍び込むと銃撃戦が始まります。
 人質を救い、美咲たちも命が助かり、素子は犯人を全て倒しますが、素子の上司は人質を助けるために殉職します。
 逮捕された5人の中にジウはいませんでした。ジウは週刊誌に載った素子の写真を見て、次はお前を殺すと言うのでした。

 美咲の天真爛漫さ、素子の男らしさ(?)は、後の「武士道」シリーズの西荻と磯山を連想させます。また、不幸なジンの経歴(不法就労の両親の間に生まれ、幼い頃に一人になり、少年の時に陰茎を縦に切られ、膀胱を犯されるというとんでもない暴行を受け、殺意以外の感情を失ってしまった)が暗い影を落とし、その神出鬼没ぶりは打海文三氏の「ハルビン・カフェ」の主人公を思い出させます。この本は3部作の第1作で、ほんのさわりですが、十分楽しませてもらいました。今後が楽しみです。

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