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「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」('00)

2008-03-26 16:22:11 | ノンジャンル
 北尾さんが'99年10月に立ち上げたオンライン古本屋についての体験を語った本です。前半はサイトを立ち上げるまでの説明を自分の体験を織りまぜながら解説したもの。中半は、オンライン古本屋を立ち上げて知り合った同業者たちとの交流の話。そして最後に、古本屋を立ち上げてからの日記が掲載されています。
 既に自分のサイトを作った人であれば、前半は退屈でしょう。私も退屈でした。ここの部分はあくまでもこれから自分のサイトを作ってみたいという人向けのノウハウの説明とアドバイスみたいな内容です。
 中半の同業者との交流も、まあそんなものかな、と言う感じ。
 面白いのは、最後の日記の部分です。北尾さんはサイトを立ち上げた時からブログを始め、途中から日刊メルマガを発行し、そこに日記も掲載されています。そこからは古本の取引きに関する問題や、古本屋の日常が垣間見られます。
 まず、古本屋にとって本を売るのは簡単。欲しい人がいると確信できる本であれば、値段設定と、このサイトにどうやって導けるかを考えれば事は足ります。例えば、ヤフーオークションに出品すれば出品時の値段さえ適切なら確実に売れ、、また思わぬ高値で落札されることもあるでしょうし、アマゾンの古本コーナーに出品すれば、値段は安く設定する必要がありますが、自分のサイトの存在を知ってもらうにはもってこいでしょう。
 問題は本の仕入れです。個人からの買い取りが理想で、自分の店で売るにはどうかな、という本も多数混ざっている可能性もありますが、事前にメールでどんな本があるかを調べておけば、大量に売れる本を格安で仕入れることが可能です。しかし、個人から買い取りの申し込みが入るのは稀で、セドリという、古本屋をめぐって自分ならもっと高く売れるという本を探す作業が大切になります。北尾さんも毎日のようにセドリに精を出しています。ただ、これは北尾さんにとっては労働ではなく楽しみなのですね。思ってもみなかった本に出会えることもありますし、古本の値段というのは店主が決めるので、欲しい人なら高額を出しても買うであろう本が格安で手に入ることもあります。
 そして本好きな北尾さんは仕入れた本に未読の面白そうな本があると、売る前に読んじゃう訳ですね。つまり趣味と仕事を兼ねている訳です。これは北尾さんがフリーライターで時間が自由にできることも関係していると思いますが、確かに本好きにはたまらない生活かもしれません。
 そして、今までも少し言及してきましたが、オンライン古本屋を成功させる一番の鍵は、自分の店のカラーを明確に出すということです。ただ仕入れた本をジャンル別に振り分けて売るだけなら、アマゾンやブックオフに太刀打ちできません。売る本のジャンルを絞り、そこで他では手に入りにくいものやマニアの購買欲をくすぐるようなラインナップをそろえることが大切になってきます。これを徹底すれば、固定客が付きますし、新しい客が常に訪ねて来るサイトにすることも可能です。実際、北尾さんは開店以来、最初の月から利益を上げ、5~8万円の利益を出し続けています。
 私もアマゾンで古本の相場を調べ、それより安くヤフーオークションで買い、読み終わると、面白かった本に関してはサイトに内容をアップし、ヤフーオークションで売っています。ただ、北尾さんと違い、商売で取引きをしている訳でないので、常に赤字です。これはどうしても欲しい本を買っているので、ヤフーオークションで同じ思いの人がいると買い値が高騰し、アマゾンの値段と大差ない値段で買う場合が多いからです。できれば私もフリーの仕事がしたいので、オンライン古本屋には惹かれますが、本に関する知識が乏しいので無理でしょう。北尾さんがうらやましい限りです。
 ということで、これからオンライン古本屋を開きたい人、普段オンラインで本の売買をやっている人は特に楽しめる本だと思います。オススメです。

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