恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず4月1日に掲載された「続・裸の王様」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「アンデルセンの「裸の王様」には続編があるのをご存じだろうか。
「これはバカには見えない布で作った服です」という仕立て屋の言葉にだまされ、裸でパレードをした王様。みなが王様万歳を唱える中、ひとりの少年が叫んだ! それを聞いて人々も叫んだ。裸だ裸だ。以上が「裸の王様」。
「続・裸の王様」はその翌日からはじまる。不機嫌な王に側近が進言した。「すまぬ、私がうそをついていた」。そうおっしゃれば民衆は納得します。だが王は耳を貸さず「パレードなどはしておらぬ」といいだした。「私や王妃がパレードに関係していたということになれば、それはもう間違いなく退位する」
さあ大変。側近は役人を呼んでパレード関係の文書を破棄か改竄(かいざん)するよう命じ、市中には「以後パレードという語を口にした者は逮捕する」というおふれを出した。
驚いたのは例の少年である。傲慢(ごうまん)な王。隠蔽(いんぺい)に走る側近。忖度(そんたく)で動く役人。何だこの国は! 長じて彼は王政の打倒を目ざした。協力を申し出たのは仕立屋だった。愚かな王に仕立屋も内心あきれていたのである。愚かな王には仕立屋も内心あきれていたのである。
続編は童話ではなく大人向けの短編で、作者はアンデルセンの甥(おい)。検問から逃れるべく地下で出版され、明治末期には邦訳もされている(訳者不詳)。邦題はなぜか「桜の王様」。理由はわからない。」
また3月29日に掲載された、「お肉券で家賃は払えない」と題された前川さんのコラム。
「新型コロナウイルス感染症の拡大で、たくさんの人が収入の途を絶たれている。非正規労働者の雇い止めが、続々と起きている。音楽、演劇などのフリーランスで働く人たちの仕事がなくなっている。
観光関連業界などで次々に中小企業の廃業や倒産が起きている。今月の家賃が払えない。明日の食費が賄えないという人たちが増えるだろう。
安倍政権が今から策定する緊急経済対策では、外食や観光に使途を限定した期限付きの商品券を発行・配布する案が検討されているという。
これらの業界が苦境にあることは事実だ。しかし、外出の自粛を要請する一方で、外食や観光を促進するのは明らかに矛盾だ。
自民党の農林部会では国産牛と交換できる「お肉券」を発行する案をまとめたという。水産部会は魚介類を対象とした「お魚券」だという。豚肉や鶏肉はどうするのだろう。
麻生財務大臣は記者会見で、現金給付より商品券の方が望ましいとし、「現金給付は貯金に回らない保証は?」「商品券は貯金にいかない」「みんな銀行にお金が余っているじゃん」「そのお金が回らないのが問題」などと発言した。
銀行に一円もお金がない人はたくさんいる。その人はそれを知らないのだろうか。「お肉券」で家賃は払えないのだ。」
そして4月5日に掲載された、「アベノマスクという愚策」と題された前川さんのコラム。
「安倍首相は全国五千万世帯に布マスク二枚を配布すると表明した。恐るべき愚策だ。「マスク需要に対する上で極めて有効」と首相は胸を張るが、三日本紙夕刊は「アベノマスク」と揶揄(やゆ)されていると報じた米メディアを紹介していた。総額数百億円。あまりにもったいない税金の使い方だ。医療体制の整備とか休業補償とかもっとましな使い道はいくらでもある。
三日の朝日新聞によると、この策は「経済官庁出身」が「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えます」と発案したのだという。首相にこんな「英断」をさせられるのは、今井尚哉首相秘書官しかいない。2月27日の突然の「全国一斉休校要請」も彼の発案だった。
今井氏や首相の最大の関心事は国民の健康ではなく政権の支持率だ。耳目を引く策を打ち出し、手なずけたマスメディアやSNSを駆使して「世論」を作り出せば、愚策も「英断」となり支持率は上がる。森友・加計問題、詩織さん事件、統計不正、桜を見る会、検察人事などの数々の腐敗もそうやって糊塗(こと)してきた。「どうせ国民は愚かだ。いくらでもだませる」と見くびっているのだ。
しかし、アベノマスクはあまりにひどい。こんな子供だましでだませるほど国民は愚かだと思っているのなら、今井さん、安倍さん、それは考え違いというものだ。」
今こそ安倍政権の終焉を見るべきときだと思いました。
まず4月1日に掲載された「続・裸の王様」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「アンデルセンの「裸の王様」には続編があるのをご存じだろうか。
「これはバカには見えない布で作った服です」という仕立て屋の言葉にだまされ、裸でパレードをした王様。みなが王様万歳を唱える中、ひとりの少年が叫んだ! それを聞いて人々も叫んだ。裸だ裸だ。以上が「裸の王様」。
「続・裸の王様」はその翌日からはじまる。不機嫌な王に側近が進言した。「すまぬ、私がうそをついていた」。そうおっしゃれば民衆は納得します。だが王は耳を貸さず「パレードなどはしておらぬ」といいだした。「私や王妃がパレードに関係していたということになれば、それはもう間違いなく退位する」
さあ大変。側近は役人を呼んでパレード関係の文書を破棄か改竄(かいざん)するよう命じ、市中には「以後パレードという語を口にした者は逮捕する」というおふれを出した。
驚いたのは例の少年である。傲慢(ごうまん)な王。隠蔽(いんぺい)に走る側近。忖度(そんたく)で動く役人。何だこの国は! 長じて彼は王政の打倒を目ざした。協力を申し出たのは仕立屋だった。愚かな王に仕立屋も内心あきれていたのである。愚かな王には仕立屋も内心あきれていたのである。
続編は童話ではなく大人向けの短編で、作者はアンデルセンの甥(おい)。検問から逃れるべく地下で出版され、明治末期には邦訳もされている(訳者不詳)。邦題はなぜか「桜の王様」。理由はわからない。」
また3月29日に掲載された、「お肉券で家賃は払えない」と題された前川さんのコラム。
「新型コロナウイルス感染症の拡大で、たくさんの人が収入の途を絶たれている。非正規労働者の雇い止めが、続々と起きている。音楽、演劇などのフリーランスで働く人たちの仕事がなくなっている。
観光関連業界などで次々に中小企業の廃業や倒産が起きている。今月の家賃が払えない。明日の食費が賄えないという人たちが増えるだろう。
安倍政権が今から策定する緊急経済対策では、外食や観光に使途を限定した期限付きの商品券を発行・配布する案が検討されているという。
これらの業界が苦境にあることは事実だ。しかし、外出の自粛を要請する一方で、外食や観光を促進するのは明らかに矛盾だ。
自民党の農林部会では国産牛と交換できる「お肉券」を発行する案をまとめたという。水産部会は魚介類を対象とした「お魚券」だという。豚肉や鶏肉はどうするのだろう。
麻生財務大臣は記者会見で、現金給付より商品券の方が望ましいとし、「現金給付は貯金に回らない保証は?」「商品券は貯金にいかない」「みんな銀行にお金が余っているじゃん」「そのお金が回らないのが問題」などと発言した。
銀行に一円もお金がない人はたくさんいる。その人はそれを知らないのだろうか。「お肉券」で家賃は払えないのだ。」
そして4月5日に掲載された、「アベノマスクという愚策」と題された前川さんのコラム。
「安倍首相は全国五千万世帯に布マスク二枚を配布すると表明した。恐るべき愚策だ。「マスク需要に対する上で極めて有効」と首相は胸を張るが、三日本紙夕刊は「アベノマスク」と揶揄(やゆ)されていると報じた米メディアを紹介していた。総額数百億円。あまりにもったいない税金の使い方だ。医療体制の整備とか休業補償とかもっとましな使い道はいくらでもある。
三日の朝日新聞によると、この策は「経済官庁出身」が「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えます」と発案したのだという。首相にこんな「英断」をさせられるのは、今井尚哉首相秘書官しかいない。2月27日の突然の「全国一斉休校要請」も彼の発案だった。
今井氏や首相の最大の関心事は国民の健康ではなく政権の支持率だ。耳目を引く策を打ち出し、手なずけたマスメディアやSNSを駆使して「世論」を作り出せば、愚策も「英断」となり支持率は上がる。森友・加計問題、詩織さん事件、統計不正、桜を見る会、検察人事などの数々の腐敗もそうやって糊塗(こと)してきた。「どうせ国民は愚かだ。いくらでもだませる」と見くびっているのだ。
しかし、アベノマスクはあまりにひどい。こんな子供だましでだませるほど国民は愚かだと思っているのなら、今井さん、安倍さん、それは考え違いというものだ。」
今こそ安倍政権の終焉を見るべきときだと思いました。
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