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増村保造監督『遊び』

2021-09-26 13:29:00 | ノンジャンル
 増村保造監督・潤色の1971年作品『遊び』をDVDで観ました。

 サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、

「電気製品の部品を作る町工場で働く、やっと十六歳になった少女(関根恵子)を母親が訪れる。金の無心である。カリエスで寝たきりの姉を抱える窮状を訴えるが、少女もお金には困っているので、にべもなく追いかえす他ない。少女は街の公衆電話の電話帳を調べる。元行員のヨシ子に連絡を取るためである。キャバレーのホステスになって見違えるほどきれいになったヨシ子は、工場の寮の少女たちの部屋をキャバレーのマネージャーを連れてホステスの仕事への勧誘に訪れたことがあった。 
 少女に一人の背の高い少年(大門正明)が声をかける。キャバレーに電話しようかと言う少女に、電話をしてもホステスはまだ出勤していない、晩まで付き合わないかと遊びに誘う。二人は喫茶店へ行き、それからやくざ映画を見に映画館に行く。少女にとって男と遊びに出るのは初めての体験だった。少女は彼女の足に伸びてきた少年の大きな手を握る。
 映画館を出て少年は、指図を仰ぐために「兄貴」に電話をかけるが留守だった。少女より二つ年上の少年の母親はおでんの屋台をひいているが、ひどい飲んだくれだった。街で母を愚弄したやくざ達と少年はけんかになる。少年のかなう相手ではなかったが、やくざの一人に度胸をほめられる。今やそのやくざ(蟹江敬三)が、印刷屋の仕事をやめた少年の「兄貴」分となっていた。 ホステスをして母を楽にさせたいという少女に、少年はキャバレーのホステスの暮らしが実は過酷なものであることを教えて、今日は自分と遊ぼうと少女に言う。
 少年は行きつけのバーに少女を連れて行く。初めて酒を飲んだ少女は、自分はきっとお酒が好きになるという。死んだ父親の悪い血を引いているから。父は仕事場で水たまりに落ちて死んだが二日酔いだったに違いない。父の残した借金を返すために少女は中学を出てすぐ工場で働いているのだった。少女がトイレに行っている間に少年の兄貴分の男がバーに来る。少女の話をすると、1万円を渡され、いつも彼らがスケコマシにつかう旅館に後で連れて行くように言われる。これは少年の初めてのスケコマシだった。
 少年は少女をゴーゴー・ホールへ連れて行く。一とおり踊った後、少年は少女にキスしようとするが、恥じらって拒む彼女にますます惹かれていく。ところがフーテン女(松坂慶子)が少年に絡んできたので少女は店を出てしまう。外では二人の中年男が少女を連れて行こうとしていた。中年男を張り倒して少年は少女を連れて逃げる。「お前を好きだ」と言う少年に、少女は「キスして」と言い、とうとう二人はキスをする。
 少年は予定通り連込み宿へと少女を連れてきた。しかし少年は、少女が兄貴たちに輪姦され、あられもない姿の写真を撮影され、水商売か風俗で仕事をさせられるはずであることを思う。少年は、兄貴とつるんでいる宿の主人をビール瓶で殴り、少女と裏口から逃げる。二人はタクシーに乗りこみ、少年は立派なホテルへ行くように指示する。今晩は散財できる1万円がある。小さなホテルに着く。きれいな部屋、きれいなトイレ、きれいな風呂。きれいなお湯。生れて初めてのごちそう。お風呂から出た二人は、浴衣に着かえて、鏡に姿を映す。自分を好きにしてほしいという少女に、自分は最低のチンピラだと言う少年。でも少女はこれが運命の出会いだと感じていた。二人は浴衣を脱ぐ。少年は不器用に、少女の美しい体を抱いた。
 翌朝、二人には何にもなかったが幸せだった。二人は離れないと誓い、葦原を走り廻った。そして川辺に小舟を見つけ、服を脱いで小舟を川へ押し出す。少し舟に水が入っているけれど向こう岸までは着けるだろう。しかし、舟の中の水は増えていく。向こう岸に着くどころか海まで流されるかもしれない。だが、二人でならそれも怖くなかった。

 大門正明の吐き捨てるようなセリフ回し、関根恵子の純真な女性像が印象的な映画でした。