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町田智浩『さらば白人国家アメリカ』その3

2016-12-09 03:56:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
・「1953年、共和党のアイゼンハワー大統領は、最高裁長官にアール・ウォーレンを任命した。保守的だと思ったからだ。(中略)ところが(中略)ウォーレン率いる最高裁は『ウォーレン・コート』と呼ばれ、弱者の人権を守る画期的な憲法判断を次々と下していった」
・「16年2月、最も共和党寄りだったアントニン・スカリア判事が急死した。オバマ大統領は空席に新たに判事を任命する義務があるが、当然オバマはリベラルな判事を選ぶだろうから、リベラル5人、保守3人、中道(ケネディ)1人という内訳になってしまう。しばらく最高裁判決は共和党に不利になる。そこで共和党は次の大統領に代わるまでオバマ在任中は新判事の承認を拒否すると宣言した。もちろん、それは司法の運営に対する妨害になるが、共和党はもうなりふり構っていない。その意味でも今回の大統領選は重要なのだ」
・「アメリカ人の肥満は食べすぎのせいではない。肥満の子供は貧困層ほど多い。太っているが、実は栄養失調で飢えているのだ」
・「(前略)たとえ頑張って野菜を食べようとしても買えない。貧困層の住む地域にはスーパーマーケットがない。野菜が買えない地域を『フード・デザート(食料砂漠)』と呼ぶ。全米で2350万人がフード・デザートに住んでいる。(中略)そんな地域では、栄養失調で体の発育に異常があり、砂糖依存症で学習能力や知能に障害がある子供が増えている。そんな子供たちを救うために(オバマ夫人の)ミシェルは給食を改善しようとしている」
・「2013年10月から14年6月にかけて5万2000人の不法移民が流入した。(中略)みんな子供だ。(中略)その子たちは、メキシコの南のホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルから、500kmもの道のりを越えてやって来た。親たちが、我が子が殺されないように、母国から脱出させたのだ。その中米3ヵ国は、現在、世界で最も殺人事件が多い地帯で、特に国連によって世界で最も危険な国にランキングされたホンジュラスは、人口約810万人の小国だが、年間に7000人以上が殺されている。殺しているのはギャングたちだ。クーデター以降の政治の混迷、凄まじい貧困、異常に高い失業率、教育の不足で、ホンジュラスの子供たちには、ギャングに入るしか生きる道がない」
・「現在、ISに所属する欧米出身者は2000人。英国人が500人、米国人が100人と推測されている。英米国内にも当然いるはずだ。調査によればアメリカ人の7割が9.11のような米本土でのテロを恐れている。テロ戦争には戦線も国境もない」
・「オハイオ州のボウリング・グリーン州立大学の調査によると、近年、全米で年平均1000人もの市民が警察官に射殺されているが、そのうち、起訴されるのは4件程度にすぎない」
・「(黒人男性の)ガーナーが(白人警官の)絞め技で殺される映像を見て、関東大震災直後に憲兵隊の甘粕正彦大尉が無政府主義者の大杉栄とその内縁の妻と甥を拉致し、柔道の絞め技を使って3人を殺害した事件を連想した」
・「共和党はレーガン政権時代から『小さな政府』というリバータリアン的思想を掲げたが、外交政策では逆に力ずくの覇権主義を取った。これは明らかに矛盾している。しかも減税しながら、軍事行動を拡大した。そりゃ財政赤字が拡大したのは当たり前だ」
・「『FBIのデータによると、黒人の若者が警官に殺される率は白人の21倍も高い』『麻薬犯罪で収監されている者の75%は黒人だ』」
・「(ヒラリーの)夫クリントンのライカビリティ(好感度)は歴代大統領のなかでも飛び抜けていて、任期7年目の99年の支持率は70%を超え、モニカ・ルインスキーとのスキャンダルの後、任期の終わりでも60%以上を維持していた」
・「(ヒラリーの)問題は全然政策が話題にならないこと。ヒラリーの場合、彼女のキャラクターと、史上初の女性大統領の可能性ばかり先行してしまっているからだ」
・「ヒラリーが掲げているのは中流の再建。81年にレーガンが大統領になって新自由主義経済政策を始めてから、アメリカの貧富の格差は広がり続けて来た。ヒラリーは再び中流層を厚くするため、最低賃金を上げ、共働き家庭のために4歳児からの公立保育所の開設、大学学費の公的ローンなどを提案している」
・「でも、ヒラリーが勝つかどうかは政策とはあまり関係がない。過去の大統領選を見ると、投票時に現大統領の支持率が5割を超えていれば、同じ政党の候補が勝ち、逆なら敵対する政党の候補が勝つ場合がほとんどだ。つまり16年11月のオバマ次第ということ。ちなみにCNNが15年6月30日に発表した調査によると、支持率50%で不支持率47%。難しいところだが、大統領の支持率を最も左右するのが景気だ。15年現在、アメリカの株価は上がり、失業率は下がり続けている。(また明日へ続きます……)