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三池祟史監督『太陽の傷』その3

2016-12-06 05:54:00 | ノンジャンル
 一昨日の東京新聞で、法政大教授の山口二郎さんが「価値観の共有?」と題するコラムを書いてらっしゃいました。引用させていただくと、「安倍首相は同盟国を訪問すると、中国への当てこすりという意味も含め、日本と同盟国は自由、民主主義、法の支配などの価値観を共有すると必ずいう。この無意味な自画自賛に、最近腹が立つようになった。いったい日本のどこで民主主義や法の支配が尊重されているというのだろう。
 臨時国会は会期延長され、重要法案がまさに駆け込みで処理されようとしている。年金改革法案の審議では安倍首相はこれ以上議論しても無駄とうそぶいた。また、いわゆるカジノ解禁法案については、委員会ではほとんど審議されないまま採決され、与党はこの国会での成立を目指している。そこに現われているのは、議会あるいはそこでの議論に対する与党政治家の徹底した蔑視であり、冷笑である。(中略)国内向けに自民党の憲法草案を振りかざして、そのうえで欧米の指導者に価値観を共有していますと言える政治家は、日本語の読解力がゼロか、民主主義や法の支配という概念を全く理解していないかのどちらかである」。まったく同感です。

 さて、また昨日の続きです。
 少年、拳銃と実弾を若者たちの元へ運ぶ。「ネットで何でも手に入るんだなあ」「やっぱすげえ。あの人は」「何味がする?」。少年、実弾の匂いを嗅ぐ。
 「昼から酒なんか飲んで。何かあったの? まさか神木から? 一度でも会ったら、私とナツミを裏切ることになるんだからね」。幼児を抱いてるカオリ。
 “13歳は人を殺してもいい。罪にならない。法律に守られている”と書かれているメールを読む少年。スローモーションで歩いて来る少年。
 電話。「片山さん、須藤です。神木から3人で会いたいって」「とにかく、あいつの言う通りにしろ」。
 男、ヘルメットをかぶり、バイクで出発。滝沢、すぐに尾行開始。
 駐車場にバイク停まり、ヘルメットを取った男は廃墟へ。須藤「神木?」。背後に拳銃を構えた少年。タクシーで駆けつけた片山は滝沢を見つけて「どうしてここに?」。パパーン、ズドン、ズドンという音。片山、滝沢に「ここにいろ」。片山、死んでる須藤を発見。
 「タケシ、本当に殺したの?」「やぱいって」。タケシ、少女に向かって拳銃を向けて「バン!」と言って驚かし、笑う。「ちくったら、お前も殺す」。
 新田「米軍から流出した拳銃と実弾200発が転売されたそうです。片山名義で。すぐ署へ」。片山「車、借りるぞ」と滝沢の車を勝手に発進。
 「神木が職場に出ていない。片山は公務執行妨害で直ちに逮捕しろ」。
 女「主人がそう言ってた。3年前、木原さんを殺したのは神木だと。話したら娘に手をかけると」。
 「片山、命を無駄にするな。アヤノちゃんのためにも」
 片山の顔のアップ。雨。月。雲。オーバーラップ。
 タケシ、拳銃を手にして笑う。撃つマネ。ボーリングのピンが転がる。「誰? 誰かいるんでしょ?」。タケシ、近づいて来る。いきなり片山に殴られ、何発か発砲するが片山には当たらず、殴り倒されて、ゴホゴホ咳をし、苦しがる。「あの人って誰なんだ?」「痛い」。タケシのスマホには“こいつを殺せ”という文と片山の写真がメールで送られてきていた。
 若者たち「誰だ?」「殺れって言ってんだから殺っちゃおうぜ」
 滝沢からの電話「片山さん、今、神木君と一緒です」神木「僕を殺したいんでしょ? 彼女は人質です。場所を言いますから、すぐ来てください」。
 夜の工場の廃墟。滝沢「誰が須藤を殺した?」少年「この町には人を殺したい人がたくさんいる」滝沢「病気よ」少年「普通だよ」。片山、車で乗りつける。片山「神木! どこだ?」。パンという銃声。そして銃撃戦。「面白え。最高!」。片山も拳銃を持っている。相手を探して周る片山。光が明滅している階段を上る。電球が消える。真っ暗闇。待ち伏せる拳銃のアップ。急に明るくなり、銃撃戦。片山、3人を撃ち倒す。そのうちの1人「すいません。すいません」「神木はどこだ?」「あの人に会ったことはない。誰も」「本当か?」。明かり、また消える。突然明るくなり、片山は脚を撃たれ、片山も反撃するが、神木の前に立たされた滝沢を撃ってしまう。神木「あ~、外れちゃった」。片山、何度も引き金を引くが、もう銃弾が残ってない。神木「ついてないねえ。片山さん」。神木、仲間だった若者たちのとどめを次々に刺す。後ずさりする片山。そこに近づいてきた神木に、片山はナイフで切りつけ、乱闘となり、結局神木は倒れ、逃げようとしてはいずっていく。片山は神木の頭を床に何度も叩きつけ、殺す。滝沢、生きていて、半身を起こしている。
 月。朝。電話。「片山さん、今どこに?」「頼みがある。妹のカオリをよろしくな」。

 黒沢清を彷彿とさせるラストの廃墟での銃撃戦など、見どころ満載でした。画面構成、編集、演出、どれをとっても一級品だと思います。