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増村保造監督『濡れた二人』その4

2013-08-27 17:52:00 | ノンジャンル
 またまた昨日の続きです。
 翌朝、坂を下る夫と、その腕に自分の腕をからませるマリコ。彼らに道で出会ったシゲオは夫を睨みます。「社長の息子さんか?」。マリコは頷き「そう、シゲオさん」。夫の手を取ったまま、シゲオを見据えて「あたしの旦那よ。昨日の昼に来たの」「野崎です」。マリコを見据えたまま「東京へ帰るんですか?」「えぇ」「舟に乗らないんですか?」「えぇ」「嘘だ!」。マリコは視線を外し、歩き始め、夫も後に続きます。バス停。オートバイでやって来たシゲオは、エンジンをふかし、マリコの前を行ったり来たりし、夫はマリコをかばいます。やがて二人の周りを回り始めるシゲオ。動揺するマリコに夫「ほっとけよ。バスに乗れば全てが終わるんだ。(マリコの両肩を掴み)見るな! マリコ!(マリコ、首を巡らしてシゲオの後を追い続けます)一時のことで一生を変えちゃダメだ」「一時の方が一生より大事かもしれないわ。今のあたしには」「離婚したいのか? 別れたいのか?」「夕べ、あなたは怒らなかったのに、彼は怒ってるわ」。シゲオの姿。遠くにバスのクラクション。夫「バスが‥‥来たよ」。近づいてくるバス。荷物を手にする夫。バイクにクラクションを鳴らすバス。バス停の周りを回り続けるシゲオ。ついにシゲオは停まり、バスを見据えた後、視線を落とし「うるせぇ」と一言言い、バスに道を譲ります。バスの車掌「下田へ参ります」夫「さっ、乗ろう」。マリコ、バスから遠ざかります。「乗らないのか!」「お乗りの方はお早く願います。乗るんですか? 乗らないんですか?」「僕は乗るぞ」スーツケースをマリコに渡し、バスに乗り「マリコ! 乗ってくれ!」。視線落として立ち尽くすマリコ。シゲオ、バイクの上に突っ伏します。バスが発車します。シゲオがゆっくりと頭を起こし振り返ると、マリコはバス停に立っています。スーツケースを地面に落とすマリコ。マリコを見つめるシゲオ。マリコは表情を緩めます。マリコに駆け寄り、マリコの両肩に手を置いて「あんた!」。マリコもシゲオの両肩に手を置き「あっ」と言って彼の胸に頭を当てます。「残ったのか!」「戻るわ、カツエさんのうちに」「俺が悪かった。東京へ帰っていいよ」「こうしたかったの。あなたのせいじゃないわ」。マリコを見据え「あんた、後悔しないのか?」。シゲオに抱いてもらい「平気よ。どうなったって。さあ、オートバイに乗せて」。シゲオから離れ「ほら、あの岩陰。あなたが私を殴った岩陰に連れていって。好きなの。あの砂浜が」。シゲオは視線を落としたまま荷物をマリコに渡し、バイクを立て直します。後ろに乗ってシゲオを抱き「帰って、早く!」とマリコ。堅い表情のまま走り出すシゲオ。
 岩陰で抱き合う二人。キスし終わると、マリコの横に仰向けに横たわるシゲオ。「私、結婚してもう6年になるけど、今日初めてはっきりあの人と離れたわ。バスに乗れって言うのを、乗らなかったの。こんなこと一生できないと思っていたのに、あなたのおかげだわ」。シゲオの胸に手を置きます。「俺、夢中だったんだ。あんたを旦那さんから取るつもりじゃなかったんだけど」「いいのよ、それで」「俺と結婚してくれるな?」「何も言わないで。あたしはただ自由になりたいのよ。みんな忘れて、めちゃくちゃに遊んでみたいの。やりたいこと何でもやって、くたくたになりたいの。さあ、シゲオさん、抱いて」「ここで?」「そうよ、脱がせて」「ヘヘヘヘヘヘヘヘ」二人をしゃがんで見つめる清江。「どうぞ、ご自由に。ここで見学するわ。(清江、立ち上がります)早く見せてよ」。マリコ、シゲオに身を寄せ「今夜会いたいわ」「どこで?」「カツエさんの離れ、来てちょうだい。雨戸を1枚開けておくから」「カツエさんは?」「誰にも分かりゃしないわ」。清江を見据えながら立ち上がるマリコ。清江、シゲオに歩み寄り「バカ!」。殴ろうとして避けられ、倒されます。バイクで去ろうとするシゲオに清江「あの女、ここに居座る気?」「放せ!」。エンジンがなかなか掛かりません。「あんた、憎い町の女と結婚するつもり?」「うるせぇ」「またひどい目に会いたいの?」「畜生」「アハハハ、あんたたちの思う通りになるもんか。あたしはね、バカじゃないよ。(腕組みし)あんたたちより、ずーっと利口だよ! へっ」(またまたまた明日へ続きます‥‥)

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