サム・ライミ監督の'99年作品『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』をDVDで見ました。引退間近のかつての大投手(ケヴィン・コスナー)が優勝目前のヤンキース相手にヤンキースタジアムで完全試合を行い、それによって彼の元を去ろうとしていた恋人とよりを戻すという映画でしたが、訳知り顔のケヴィン・コスナーの独白が多く、感動のラブストーリーというものの扱いがいかに難しいものかということを再認識しました。見ていて気恥ずかしいほどの凡作で、ライミ監督作品では最低の出来なのではないでしょうか?
さて、奥田英朗さんの'97年作品『ウランバーナの森』を読みました。
76年から4年連続でジョンは、平和運動や講演、執筆といった仕事をしている妻のケイコ、それに幼い息子と夏の休暇を軽井沢で過ごしていた。ジョンは4年前に音楽活動を休止させ、主夫として息子と多くの時間を過ごしていた。
ある日、ジョンは自分が17才の時に亡くなった母の声音で自分の名前を背後から呼ばれ、当時の記憶が甦り泣きそうになるが、もちろんそれは赤の他人が自分の子に向かって呼んだ声だった。しかしジョンは再び母の声を聞き、橋が笑っているのを聞く。その3日後、4年ぶりにジョンは不安神経症の発作に捕えられ、ハンブルグでクスリをやりながら追い剥ぎをしていた時、反撃してきた相手を殺してしまった悪夢がまた甦って来たと思うと、今度は激しい腹痛に襲われた。
数日後、病院に行ったジョンは検査では異常はないとされ、念のため注射を打たれ薬をもらう。ジョンは中学生だった頃、既に立派な街のゴロツキで、弱い物虐めを楽しみ、良識的なものへの嫌悪で満ちていた。しかし今、息子には自分のできなかった普通の甘くてせつない青春の日々を送ってもらいたいと思っているのだった。
数日後、ジョンは腹痛が治らず、便秘していることにも気がついて、薬局で便秘薬を買って飲んでみるが効果がなく、浣腸を試してみてもダメだった。ケイコに探してもらった、新たな病院《アネモネ医院》に行くと、そこには医者とアテナという名の美しい看護婦だけしかいず、腹痛は心因性のものかもしれないと医者は言い、最後にマッサージをしてくれる。病院を出ると濃い靄が漂っていて、ジョンはそこで追い剥ぎで殺したはずの男に出会い、殴り返されるが、彼が死んでいなかったことに安堵する。
翌日も《アネモネ医院》に行きマッサージを受けた後、病院を出ると、やはり濃い靄が漂い、今度は人生で最初にセックスした女性の母親に出会った。ジョンは最初に彼女に会った時に彼女を侮辱するようなことを言ったことを詫びると、彼女は気にしていないと笑ってくれる。しかしその夜、ジョンは自分を捨てていった父と母のことを悪夢として思い出す。
次の日《アネモネ医院》からの帰りに濃い靄の中で出会ったのは、親交があったキースに連れられてきた、かつてのマネージャー、ブライアンだった。キースはジョンと親交があった奇人で、ドラッグの大量摂取で78年に死に、ブライアンは当時ジョンに愛情を抱くも、ジョンは彼を罵倒してストレスを発散させていた。そしてジョンのバンドが公演活動を休止すると、ブライアンも仕事を奪われ生きがいも失い、薬物依存症によって衰弱死していた。ジョンはブライアンに許しを請い、彼を抱き締めると、やがて彼は靄の中へ消えていく。(明日へ続きます‥‥)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
さて、奥田英朗さんの'97年作品『ウランバーナの森』を読みました。
76年から4年連続でジョンは、平和運動や講演、執筆といった仕事をしている妻のケイコ、それに幼い息子と夏の休暇を軽井沢で過ごしていた。ジョンは4年前に音楽活動を休止させ、主夫として息子と多くの時間を過ごしていた。
ある日、ジョンは自分が17才の時に亡くなった母の声音で自分の名前を背後から呼ばれ、当時の記憶が甦り泣きそうになるが、もちろんそれは赤の他人が自分の子に向かって呼んだ声だった。しかしジョンは再び母の声を聞き、橋が笑っているのを聞く。その3日後、4年ぶりにジョンは不安神経症の発作に捕えられ、ハンブルグでクスリをやりながら追い剥ぎをしていた時、反撃してきた相手を殺してしまった悪夢がまた甦って来たと思うと、今度は激しい腹痛に襲われた。
数日後、病院に行ったジョンは検査では異常はないとされ、念のため注射を打たれ薬をもらう。ジョンは中学生だった頃、既に立派な街のゴロツキで、弱い物虐めを楽しみ、良識的なものへの嫌悪で満ちていた。しかし今、息子には自分のできなかった普通の甘くてせつない青春の日々を送ってもらいたいと思っているのだった。
数日後、ジョンは腹痛が治らず、便秘していることにも気がついて、薬局で便秘薬を買って飲んでみるが効果がなく、浣腸を試してみてもダメだった。ケイコに探してもらった、新たな病院《アネモネ医院》に行くと、そこには医者とアテナという名の美しい看護婦だけしかいず、腹痛は心因性のものかもしれないと医者は言い、最後にマッサージをしてくれる。病院を出ると濃い靄が漂っていて、ジョンはそこで追い剥ぎで殺したはずの男に出会い、殴り返されるが、彼が死んでいなかったことに安堵する。
翌日も《アネモネ医院》に行きマッサージを受けた後、病院を出ると、やはり濃い靄が漂い、今度は人生で最初にセックスした女性の母親に出会った。ジョンは最初に彼女に会った時に彼女を侮辱するようなことを言ったことを詫びると、彼女は気にしていないと笑ってくれる。しかしその夜、ジョンは自分を捨てていった父と母のことを悪夢として思い出す。
次の日《アネモネ医院》からの帰りに濃い靄の中で出会ったのは、親交があったキースに連れられてきた、かつてのマネージャー、ブライアンだった。キースはジョンと親交があった奇人で、ドラッグの大量摂取で78年に死に、ブライアンは当時ジョンに愛情を抱くも、ジョンは彼を罵倒してストレスを発散させていた。そしてジョンのバンドが公演活動を休止すると、ブライアンも仕事を奪われ生きがいも失い、薬物依存症によって衰弱死していた。ジョンはブライアンに許しを請い、彼を抱き締めると、やがて彼は靄の中へ消えていく。(明日へ続きます‥‥)
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