まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

貧困の終焉 2025年までに世界を変える

2010-01-10 00:00:00 | 読んだ本
hinkon
貧困の終焉―2025年までに世界を変える

『勝間和代のBook Lovers』(残念ながらもう終わってしまいましたが・・・)で紹介されて興味を持った本です。貧困問題といえば『子どもの貧困』や『プレカリアート』を読んでいたけど、これらは日本国内の相対的貧困のお話で、ある意味先進国の幸せの影の側面だけど、この本で正面から取り組んでいる貧困は、絶対的貧困‐1日を1ドル未満で暮らす人たちのことで、後発開発途上国、とくにサハラ以南のアフリカの人たちが対象になります。

著者のジェフリー・サックスは国際開発の第一人者で、現在はコロンビア大学地球研究所所長の職にあり、途上国政府や世界銀行ほか各国際機関のアドバイザーも多数務めている。

索引まで含めると534ページもある大著だが、図表も多く挿入されていて、U2のボノが序文を書いていたり、著者の経歴を追うような形で内容が進んでいくので、比較的読みやすかったです。これまで著者が経済顧問を務めてきた南米のボリビア、冷戦終了後のポーランドとロシア、そしてアジアの大国中国とインドで経験してきた事柄を時系列でまとめてあります。

そして、現在著者が取り組んでいるサハラ以南のアフリカやアジア、ラテンアメリカに世界で10億人はいるという絶対的貧困者について、彼らを「貧困の罠」から救い出し経済活動が自然と促されるようになる処方箋を書いている。そのために必要な援助は先進国のGNPのたかだか1%未満に過ぎない。

極度の貧困にさらされている人たちは、6つの資本が欠落している。人的資本(健康、栄養、基本的な技術)、ビジネス資本(機械、設備、輸送)、インフラストラクチャー(道路、電力、水、通信、港湾)、自然資本(農地、生物多様性、エコシステム)、公共制度資本(司法、行政、警察)、知的資本(科学、テクノロジー)。彼らは、経済発展のはしごの最初の段にすら足をかけることができない。もし仮に何らかの形で経済発展のはしごに少しでも引っかかれば、そこから資本を蓄積して、マイクロファイナンスなどを通じて時間はかかるし規模も小さいかもしれないが、自然と経済発展の成長の波に乗ることができる。

その最初の一歩、経済発展の最初の一段に手をかけるために、資本が欠落しているところには資本の蓄積ができ自発的な経済発展が(たとえバングラデュのような低賃金で略奪的な衣服産業だとしても)まわり始めるまで先進国からの継続的な援助が必要なのだ。後発後進国で何をするかは、すでに専門家の作った開発計画ができている。あとは資金の問題だが、基本的なニーズを満たすためには、極度の貧困者ひとりあたり年間110ドル以上を10年にわたって支援することが必要になる。

先進国からのODAは、2006年には1340億ドル、2015年には1950億ドルが必要となる。かなりの大金に思えるが、これは先進国のGNPのわずか0.5%程度に過ぎないのだ。そして、2015年以降、政府開発援助の額は極度の貧困層が減ることにより、段階的に減らすことが可能となり、2025年には、極貧層を世界からなくすことが可能となる。

私たちは、世界から極貧層を撲滅できる初めての世代なのだ。なんて素晴らしいことだろう。環境やエネルギーといった地球のキャパシティが少し心配だけれども。。。
kaikaku7
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