まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

アシンメトリー 飛鳥井千砂著

2016-01-05 22:59:09 | 読んだ本

アンタイトル』の著者の作品。結婚をめぐり4人の主人公それぞれの想いが交錯する、これまた結婚したい自分にとっては気になるテーマ。

真面目で自分には華がない、と思っている朋美は同年代の友人たちが次々と結婚していくことに、焦りにも似た感情を抱いていた。そんな折、結婚には全く興味がないと思っていた友人の紗雪が幼馴染でカフェの店長をしている治樹と結婚するという。紗雪と治樹の結婚パーティで、朋美は貴人と出会う。ファッションセンスがお洒落だったりカフェの店長をしたりと、少し自分と異なる世界にいる紗雪や治樹と違い、普通のサラリーマンだという貴人に朋美は好意を持つ。

しかし、紗雪と治樹の結婚には秘密があった。治樹は同性愛者だったのだ。そして治樹の昔の恋人祐輔が東京に戻ってきたことをきっかけに、いろいろなことが露わになる。。。

女性作家ならではだろうか、ひねくれたというか、ややこしいというか、複雑で細かい女性の気持ちが男性の自分にとってはかなり赤裸々と思えるほどにに描かれる。紗雪が朋美を疎ましく思い始めるのは、結婚の話題が出て朋美が「普通の」と言ったあたりから。出会いのための飲み会(たぶん合コン)で忙しい朋美をどこか醒めた目というか、突き放した感覚で見ている紗雪は「普通」に流されない。

ちょっとややこしい家庭環境で育ったこともあるだろうし、好きになった人が同性愛者だったというのもあるだろう。普通のもの、無難なもの、みんなが選ぶものではなく、自分の好きなものを選ぶ紗雪の姿勢はかなり格好いい。

でもよく考えてみると登場人物にいわゆる「普通」の人はごくごく少ないんじゃないかと思う。家庭環境を見ても朋美の両親は離婚してるし、治樹の家も父親がいない。貴人は「普通」のサラリーマンっぽいけどヒーリング系にはまっている。登場人物ほどわかりやすく目立ってはいないだろうけど、現実の世界、自分の周囲もきっと似たようなものなんだろうと思う。普通がえらいわけではなく、ただ多数派なだけの場合が多いだけで、でもやっぱり「普通じゃない」ものをただ単に「違う」として見るのは難しいんだろうな。

このほんの数ヶ月の出来事を通じて、結婚に憧れていた朋美は逞しくなり、紗雪は初めての失恋を乗り越えようとしている。貴人も水道水を飲んだりまた走り始めたり、止まっていた何かが動き出した。治樹は同性愛者ということもあって人生経験が豊富だからか、ちょっと大人な立ち位置に見えるけど、みんなそれぞれ成長しているのがなんだかいいな、と思いました。

11/8
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