まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

楽園のカンヴァス 原田マハ著

2017-02-26 21:57:01 | 読んだ本

キュレーターとしての経歴を持つ著者が初めて美術を正面からテーマに据えた作品。山本周五郎賞を受賞し、直木賞候補作にもなる。

倉敷の大原美術館に監視員として勤める早川織絵、母と娘と3人で慎ましく暮らしていたが、突然日本で開催されるアンリ・ルソー展の目玉となる「夢」をニューヨーク近代美術館MoMAから借用する交渉窓口に指名される。彼女を名指しで指名したのはMoMAのチーフキュレーター、ティム・ブラウン。ティムと彼女の間には17年前に誰も知らない秘密の一週間があった。

1983年、MoMAのアシスタントキュレーターだったティム・ブラウンは、伝説の蒐集家コンラート・バトラーからアンリ・ルソーの未公開作の鑑定を依頼される。頼まれるがままスイス、バーゼルに向かったティムを待っていたのは、アンリ・ルソーの真贋を鑑定する作品「夢を見た」と古びた書物、そして新進気鋭のルソー研究者、オリエ・ハヤカワだった。バトラー氏が指示した鑑定方法は、古びた書物を一日一章ずつ読み進めることのみ。

オリエとティムは、古びた書物に書かれていたアンリ・ルソーの物語を読み進める。途中、サザビーズやクリスティーズといったオークション大手の暗躍やインターポールの調査官が登場し、ピカソの未発表作が下地にあるかも、という不確かな情報も耳に入ってきた。そしていよいよ「夢を見た」の真贋を講評する日がやってきた。。。

現代である2000年とバーゼルでの1983年、そしてルソーの生きた1906-10年の3つの時代が出てきますが、2000年はプロローグとエピローグ、1906-10年は物語の中なので、時制の混乱はなく読み進められました。

美術に疎い自分でもさすがにパブロ・ピカソは知っています。アンリ・ルソーの絵もなんとなく見覚えがあるような、ないような。絵のタイトルが出てくるたびに、スマホでどんな絵か確認しながら読み進めました。この小説自体が絵の解説みたいな部分もあるから、それぞれの絵をしげしげと眺めてしまいます。

物語の中でも、ルソーとヤドヴィガ、ジョゼフ、パブロ・ピカソたちが「祝宴の時代」を生き生きと動き、ティム、オリエ、バトラー、弁護士のコンツ、インターポールのジュリエットなど、1983年の人物もそれぞれ個性のある描かれ方をしていて、人物造形も興味深いものでした。

小説と美術、二種類の芸術の融合を贅沢に味わうことができました。
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2 コメント

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Unknown (神崎和幸)
2017-02-27 14:08:21
こんにちは。

自分も「楽園のカンヴァス」読みましたよ。
いい作品ですよね。
絵の描写が生き生きしていると感じました。
そのうえ一枚の絵からここまでストーリーを膨らませることができるなんて本当に凄いと思いましたよ!
神崎さま (まてぃ)
2017-03-01 23:05:25
コメントありがとうございます。
自分もストーリーを追いながら絵が眼前に見えているかのような生き生きとした描写に心が動きました。
一粒で二度おいしいって感じです。

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