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『サンザシの樹の下で』で真っ直ぐに淡い純愛を描いたチャン・イーモウ張藝謀監督が、コーエン兄弟のデビュー作『ブラッド・シンプル』を舞台を中国に変えてリメイクした作品です。毎度のことながらオリジナルは未見なので、どの程度コーエン兄弟の味わいが残っているのかわかりません。
西域の荒野にある麺屋、そこでペルシャ商人から銃を買った店主の妻だが、この銃がきっかけで危ういながらも保たれていた、麺屋の日常が崩れ出す。従業員のリーと浮気している妻の始末を依頼した店主のワンが、頼んだ相手の悪徳警官に逆に殺されて、そこからが見せ場の始まりです。地下の金庫室とワンの死体をめぐって、悪徳警官とリー、そして太っちょ従業員が、それぞれの思惑で金庫を探ったり死体を動かしたりして、お互いの思わぬ動きを滑稽に撮ろうという演出の意図は何となくわかる気がするけれど、自分はいまいち入り込めませんでした。
悪徳警官の知らないうちに死体が金庫室からなくなったり、金庫がいつのまにか開いてたり、小物のキセルや銃、服の切れ端などが予想外のところから出てきたり、という展開を軽妙に描きたかったのかな、と思うけど、自分がちょっと面白いな、と思った場面は、冒頭で大砲の音を調べに警官隊が来たシーンで、壺に隠した銃が見つけられるんじゃないか、とリーが冷や冷やする場面、そして小麦粉を練って回して回して回して回してついには麺の生地が人の体の倍以上にも広がるところ。ここは単純にすごい!と思いました。
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ラストで悪徳警官が店主の妻を襲う場面は、無差別に弓矢を撃ってくるのも家の中に入ってきて追い詰めるのも、ほとんどホラー映画なみの怖さです。最後にあの銃でズドン!となるのは、それまで悪徳警官が不気味だっただけに爽快でした。
舞台設定が全然違うので、ストーリーからの推測にすぎませんが、オリジナルはもっとユーモラスな感じだったりするのかな。
公式サイトはこちら。
9/5 神保町一ツ橋ホール
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