えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

ダイヤモンド冨士

2016-12-21 09:47:45 | 歌う
           ダイヤモンド冨士
                   
 昨日午後3時すぎ、私は山中湖に近い「花の都公園」をぶらぶらしていた。花のない公園はまだ枯れないススキだけの枯野の公園。そこにカメラを手にした何十人かの人びとが集まっていた。標高1000メートルの高原、すごく寒い。3時40分前後に富士の山頂に太陽が重なる、その瞬間を見られるのは、秋から冬にかけての晴れている日だけ。

                          
 晴天なのに、昨日の富士山は雲に覆われていた。私は雲を眺めるのが好きだが、昨日は雲に意地悪されているような気がした。3時40分にはまだ雲は太陽を遮っていた。「また見に来いよ」と富士山は私を見下ろしていた。

                                     
      
          ボクと私の富士山    松井多絵子
                           
   あたたかくなっても白いその帽子ぬがないほうがいいよ富士山
                              
   登ったことないけど富士山すきなボク、登ったことがないからでしょう
                
   ボクたちの富士山の高さはアバウトで二千、三千、五千メートル             
   今は静かにしているけれどそのうちに噴火するかも富士山、あのひと
              
   いくたびも落選せしを知りしより片岡球子の冨士の絵たのし
                                
   落ち込んだときには遠くの富士山をひき寄せたまま眺めていたい
                                             富士山を見るため四十八階にきて鯖雲に見られていたり
                                  
                             
 
 昨日はダイヤモンド冨士を見るため濃紺のサングラスをかけ続けていた。そのためか富士山は暗く不機嫌に見えた。「傲慢な太陽」が疎ましかったのかもしれない。私の周りにはギラギラ活躍している女たちが常にいる。眩しい女たちから離れて富士山を眺めていると、他者のことはどうでもよくなる。富士山は私の精神安定剤なのかもしれない。                                          
               12月21日 松井多絵子