えくぼ

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私はポインセチアの花に

2016-12-17 09:28:11 | 歌う
         私はポインセチアの花に

✿「ありがとう」とあの日あの時云ったなら私はポインセチアの花に 松井多絵子
     

 12月の半ばを過ぎると花屋の店頭に現れる、1年の眠りからめざめたようにポインセチアの花が真っ赤にひらく。今日の「天声人語」は「ポインセチアの原産地メキシコに語り継がれる民話がある」から始まっている。来週の日曜日はXmasなのだと私は気づく。
                                
 「貧しい少女がクリスマスに教会へ持って行く捧げ物を買えず、思い悩む。教会の裏手で草を摘むと、魔法のように一瞬で紅色のポインセチアに変わり、少女を歓喜させる。この植物を有名にしたのは19世紀の米政治家ポインセット氏だ。外交官として赴いたメキシコで魅せられ、米国へ持ち帰った。クリスマスを祝う観葉植物として広まった」。さらに「天声人語」さまは語りつづける。
                                          
 「メキシコ生まれなので寒さに弱く、乾燥には強い。冬の冷気を避け水を与えすぎなければ春先まで花を楽しめる」そうである。赤く色づく部分は花でなく苞、花芽を保護する葉。色の流行は日本の東西で異なる。関東圏では定番の濃い赤が人気だが、関西圏では染料で青や紫に色づけしたものや輝くラメで飾ったものも好まれる」

 私はポインセチアを自分で買ったことがなく、頂いたのは何年も前のこと。「今季、栽培農家の間で黄金色の新種が話題を呼んだ。出荷数は多くないものの、ほんのりと桃色を帯びて幻想的である。これが時とともに少しずつオレンジ色に移り変わってゆくそうだ」 しだいに詩人になってゆく「天声人語」さまはどんな方なのだろうか。
                            
 「筆者の職場の隅にも一鉢が置かれた。それだけで、無機質な部屋が12月のきらめきを帯びる気がする。魔法の花である」ここで今朝の天声人語はうつくしく終わる。
          
                                  
    午後はひさしぶりに駅前の花屋さんを覗いてみようかしら。
              
           わたしはポインセチアの花になるかもしれない。


                 12月17日 松井多絵子