「嘘の見抜き方」
★猫は耳を尖らせわれの嘘を聞き夫はタバコのけむりを放つ
松井多絵子歌集 『厚着の王さま』より
新聞の本の広告『嘘の見抜き方』を見ながら私の古い歌を思い出していた。今は猫を飼っていないが、猫は人間の嘘を見抜くような気がしたことが度々あった。あの夜の飼い猫プーニヤをおもう。あのとき猫は目をとじていた。しかし耳はピーンと張っていた。夫より猫のほうが怖かった。メス猫だったから女ごころが分かる。女の嘘を見ぬいてしまう。
▲「目を見て話せ」は逆効果と広告は言う (たしかに私は嘘をつくとき猫の目だってダメ。)
▲表情の「持続時間」に注意せよ (嘘を言うときはかなりエネルギーを使う。3分以内か)。
▲嘘を言わずにカマをかける方法 (これは嘘の中級か。ぜひマスターしたい)
▲「イエス、ノー」で答えない (テレビの国会中継を見逃さないこと)
▲黙秘する人の心を溶かすフレーズ (これこそ短歌だ。人の心を蕩けさせるフレーズを駆
使することができれば○○賞を、花束を独り占めできる。選考委員達が見抜けない嘘。
『嘘の見抜き方』の著者は元検事。嘘を見抜く達人になることは大嘘つきになることか。この本の広告の隣は『無力』その隣は『この世はウソでできている』
5月29日 まひる 「あゝ、やんなっちゃった」 松井多絵子