1935年にブロードウェイミュージカルのために書かれた曲だ。その後ファッツワーラーの演奏や、50年代になってメルトーメが歌ったりしてポピュラーな存在になった。もちろんこの曲をレパートリーにしているミュージシャンは他にもいっぱいいる。形式はA-A-B-A、リハーモナイズはやろうと思えばできるかも知れないが、基本はⅥ7から2拍ずつ7thが4度進行していくのがおもしろい。テンポもどうにでもなる。そう、ジャズの素材にうってつけだ。ジャズスタンダードは多種多様、千差万別、その曲に応じて対応するしかない。それぞれいろんな判断基準があるが、「縛り」の強さというのは必ずあると思う。リハーモナイズはほとんどできない、テンポやリズムの形も限られているもの、そして何もかもどうにでもなるもの・・・。もちろんこれは両極端をあげてるだけだけど、傾向としてどちらがやりやすいか?というのもかなり個人差がある。「縛り」のきつい曲は窮屈には感じるかも知れないが、ルールさえ守ればその曲の構造がインプロヴィゼーションをいい音楽にしてくれるという気楽なところもある。その逆、「縛り」のゆるい曲は自由に感じる半面、自分の力で即興演奏を音楽にしなければいけない責任が生まれてくる。演奏しているとそのプレッシャーもある。本当にどちらとも言えない。そしてその「縛り」にもいろんな段階がある。この「Lulu's Back in Town」はどの辺だろう?ちょっとキツいぐらいの類かな?でもほどよいキツさ・・・。ジャズを演奏していると当然いろんな曲をやるわけで、いろんな縛りを経験する。いい演奏ができる時というのはその「縛り」を心地よく感じたときなのだ。