おはようございます^^
一体日本人は生きるといふことを知つてゐるだらうか。小学校の門を潜つてからといふものは、
一しよう懸命に此学校時代を駆け抜けようとする。その先きには生活があると思ふのである。
学校といふものを離れて職業にあり附くと、その職業を為し遂げてしまはうとする。
その先きには生活があると思ふのである。そしてその先には生活はないのである。
現在は過去と未来との間に劃(かく)した一線である。
此(この)線の上うえに生活がなくては、生活はどこにもないのである。
初手から文学的な文章を紹介しました。
これは 明治の文豪 森 鷗外 の「青年」から抜粋をしたものです。
当時は文語文がまだ主流の中から この作品は比較的 口語分の文章なので読みやすいようです。
森鷗外は1922年に逝去されましたので ちょうど百年になります。
上記は 愛好家の間では有名な一説らしくて 戦前も戦前、第一次世界大戦などの戦乱の中の時代で
「平和が当たり前の現代」とは全然違った社会情勢なはずなのに この一説を読んでみますと
今の日本人を嘆いているのではないかと 錯覚をしてしまいます。
世の中が変わっても人間の性は変わらず、と云ったところでしょうか。