今回は、将棋界のお話です。
私は無類の将棋好きなおっちゃんですが、今回はちょっと困ったことだなぁ、と心配をしています。
それはこの前の反則負け、の一件。
詳細はファンの方ならおよそご存知の通りですね。コロナに限った限定の規則として対局中はマスクをすること。30分を越えた場合は負けとする。
と定められた規則を2月に発表されて全棋士が承知しました。
それにも関わらずこの時、佐藤天彦九段はマスクをせず1時間も対局を続けていました。相手の永瀬拓矢王座(タイトル保持者)は自分はマスクを
着用しているのに佐藤九段は正当な理由もなくマスクをしなかった事に耐えられず 「反則です」とアピールをしました。
そのあと時間をおいた裁定の結果、佐藤九段は反則負けとなりました。
巷では色々な議論がなされていますが、私の考えはこうです。
先ず、佐藤九段はこの対局以前にも度々マスクを長時間外して対局をしていて注意を受けていました。今回の反則負けの処置はこれに尽きると私は思います。
前は注意があったのに今回はいきなり反則負けとは‥と本人の感想がありましたが、相手は息苦しく思考の妨げになるのに規則だからと
我慢をしてマスクをつけている。
勝負ですから同じ条件で無ければならないのにまだ不服を言ってるのですが、佐藤九段は場の雰囲気になにも気にならなかったのか、私は残念でなりません。
今の世の中は郊外ではマスクの制限は緩めていますが、室内は相変わらず厳しく制限があります。
佐藤九段、あなたはかつて名人位を3期獲得した将棋界を代表するトップ棋士ではないですか。
以前、AIが検算能力を発揮して人間を凌駕しつつある時に、果たして人間とAIが戦えばどちらが勝つだろう‥とマスコミや将棋のファン、
将棋を知らなような人まで興味深々でした。機械、コンピューターが人間の能力を超えているのは周知の事実ですが、それをまじかに見たい野次馬に圧されて
将棋連盟は断ることが出来ず、又挑まれれば誰とでも指します、という将棋に向かう将棋連盟の真摯な姿勢に感服をされた人も大勢いました。
ですが 世間はやっぱり物見遊山的なもので溢れていました。
将棋は何百年もの長きに亘った人間の英知を極めたものだから負けてはいかん、今更コンピューターに勝てる筈がない、負けたらどうするの‥
などやんややんやの冷やかしがいっぱいありました。そのAIとの対局に選ばれたのが、時の名人だった 佐藤天彦名人でした。
AIはテーブルゲーム仕様なので実際の将棋盤で指すことが出来ないために ロボットのアームが代わりに指しました。一手ごとに ゴツい腕がウー
と動いて駒をつまんで指す位置にマグネットの駒を置くのです。
一方こちらは人間、佐藤天彦名人は軽やかな如何にも将棋指しの手つきで指しました。
将棋は指す駒を持つ手つきで おおよそ この人は強いか分かるそうです。
それが ウィ~ンと機械的な動きで駒を運ばれては やり難かったでしょうね。
私は佐藤天彦名人の心中を察して 大変な役目を受けらたれなぁ‥と同情をしていました。
ですが、佐藤天彦名人の対局中の態度や所作には全くスキがなく堂々とした姿勢で一局を終わられて さすが名人。
と心から喝采を送っていました。
あれから数年が経って昨今は藤井五冠に注目が集まっていますが、藤井さん一人で将棋界を引っ張れる筈もなく
他の実力者とで競うことで将棋界が盛り上がるのです。
野球の場合、日本シリーズ中はマスコミやファンの皆さんがシリーズを楽しめるようにと各球団はゴシップ、トレード、引退などの
公表は控えて、一致団結、球界全体で日本シリーズを盛り上げていこうという不文律があります。
こちら将棋界は同じ日に竜王戦というビックなタイトル戦の第三局がありましたね。この勝負、中盤までは挑戦者の広瀬八段優勢
だったのを藤井竜王が渾身の勝負手で逆転、歴史に残る名勝負だとファンやマスコミもその余韻に酔っていた矢先の異質の反則負け。
しかも対局者はどちらも最高峰のA級順位戦のトップ棋士。日々将棋の技量に研鑽をしていて勝ち負けにこだわるのは当然ながら
将棋界には大局観なる言葉があります。また礼に始まり礼に終わる 日本のゆかしき伝統があります。
経過の詳しい事はこの程度なのですが、両者の立場や望外の将棋ブーム、四百年以上も続いている伝統ある将棋の専門棋士として
誇りを持って解決をして頂きたいと願っています。
それについては もう 佐藤九段が潔く真摯な態度でファンの皆さんや関係各社にお詫びをするのが最善手だと私は思います。