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寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

猫に鈴をつけるのは誰だ…16

2011年06月13日 10時52分20秒 | 日記
河田部長 が去ったあと加藤課長と沢田さんが取り残された格好となりました。
加藤課長は相変わらず憮然としています。
(しっかりしていると今まで信用していたのに…)
加藤課長や河田部長が怒るのも無理はありませんね。
加藤課長は河田部長の心境がわかります。
藁をもすがる思いで黙って聞いていたら、
何のことはない、すっかりからかわれてしまいました。
「やれやれ…」
加藤課長は給湯室を出ようとしました。
自分もやらなければならない仕事が山のようにありました。

「あねさんろっかくたこにしき…」
立ち去ろうとした後ろからです。 「はぁ!?」
突然の呪文みたいで加藤課長は振り向きました。
沢田さんと目が会います。
沢田さんはニッコリ微笑んでいます。
「な、何ですか!?」 今のは… 関東育ちの加藤課長は一瞬何の事なのか理解できません。、(姉、三、六角、蛸、錦)
これは有名な京の童歌(わらべうた)の一節です。 これが実に上手く出来ていて 童謡の歌詞が通りの名前と掛け合わせてあるのです。
つまり姉は姉小路通り、三は三条通り、六角通り、蛸は蛸薬師通り、錦通りです。
京都に住んでいる人なら誰もが知っている童歌です。
加藤課長は最近こっちに(京都)来ましたが、さすがにこの一節は耳にしたことがありました。

「…」 沢田さんの目は笑っています。
そして加藤課長をじっと見詰めています。
「まさか…」
沢田さんはしっかりとうなずきました。
「まさか、まじないとは…」
「ええ…」
そうですよ。
沢田さんの顔から笑顔が消えました。

加藤課長の頭の中で童歌が微かに聞こえてきました。
「姉三六角蛸錦~♪」一体どうなっているんだ…
沢田さんの顔がおたべ(京都の銘菓)の童(わらべ)みたいに微笑み出します。
「あねさんろっかくたこにしき~」
童の合唱が頭の中に響き始めました。
目の前の沢田さんが歪んできます。そしてぐるぐる回りおたべの童に段々と変わってきます。
童歌が拡声して加藤課長は思わず声を上げていました。
「うわぁ~」
鳴り響く童歌におたべの童が回り続けます…
「参りました!」
遂に加藤課長は許しを乞いました。

童の高笑いが頭の上から響き渡るのを加藤課長はしゃがみこんで聞きました。
「こんな事って…」 手で覆うようにしながら思わず口にした言葉です。
コメント
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