ダレきっていた自分に喝を入れるつもりで、ふと思いついた。
墨田区から実家まで75kmを歩いちゃおう!
息子も「お父さん凄すぎるぜ」と思うかも。
小学校5年だった息子に携帯メールを打つ。
「お父さんは、明日ばぁちゃん家まで歩いちゃうぞ。12時間くらいかかるかな。朝5時に出発だ。」
彼からショートメールが返ってくる
「がんばれ」
「1時間ごとにメールするからな」
「おぅ、俺は今日おじちゃんと海に行く」
翌日、
6:00
「1時間寝坊したっ!今歩き始めたぞ」
7:00
「今東京駅の横を通り過ぎたぞ」
8:00
「もうすぐ品川駅だ。暑くて死にそうだけど、お父さんは頑張るぞ!昔の人はすごいなぁ」
「頑張ってね」
9:00
「まだ、東京だよ。もうすぐ大森駅。国道15号線を歩いてるんだよ。ネットで調べてごらん。」
「すごいね、東京は暑い?」
10:00
「まだ、東京だ。今蒲田駅を過ぎたところ。ドン・キホーテが見えるんだけど、自転車買っていい?」
…父親が尊厳を捨てて挫折した瞬間だ。
「23,800円の展示車が9800円で売ってるんだけど、これでばぁちゃんの家まで行くわ」
間をおいてメールの返信…
「じゃぁ、続きは自転車でがんばって!」
健気な息子だ。
その後、昼飯食ったり休憩したりで5時間をかけて茅ヶ崎に着いた。
「今、茅ヶ崎中央公園だよ。ばあちゃんの家まであと20分かな」
「がんばったね」
う~ん、がんばったのだろうか…。
そんな風に買ってしまった自転車は「なんちゃってMTB」だった。
買ってしまった以上、帰りも自走しなきゃならないって着いてから気づいた。
初めてのトライで片道78km、往復156km(1年後に自走してみた)を走った。
墨田区の自宅から世田谷区の職場までが20km、
丁度で自転車通勤ジャストサイズってことがわかる。
せっかく買っちゃたので自転車通勤を始めた。
雨の日も風の日もがんばってみた。
半年で体重が8kg減った。
その後実家に引っ越すことになり、職場までの距離は44kmになってしまった。
ジャイアントのMTBを買った。
1台目は2週間で盗まれた。
2004年の6月に一度職場までの自転車通勤をチャレンジしてみた。
5時に出て7時半についた。いけるんじゃない?
金曜日など隙を見ては自転車通勤をするようになった。
そして今に至っている。
あの時、挫折していなかったら今の自転車ライフはない。