とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

ホワイトハラスメント?

2024-05-18 08:29:06 | 社会
ネット記事を見ていたら「ホワイトハラスメント」という言葉が出て来た。またか。なんでも「ハラスメント」という言葉をつけてしまえばいい風潮はうんざりだ。

ホワイトハラスメントというのは、「過小な要求」型だそうである。例えば、他の社員の仕事とは違う軽作業を別室でするよう命じられたような事例、学校の先生の場合は、担任から外され掃除しかさせてもらえないといった事例などがあるという。

常識的に考えてほしい。「他の社員の仕事とは違う軽作業を別室でする」というのは、ホワイトハラスメントではない。あきらかなパワーハラスメントである。「担任から外され掃除しかさせてもらえない」という先生がいるはずがない。「担任から外された」のは何らかの事情があるからであろうし、もし「掃除しかさせてもらいない」人が教員であるはずがない。この記事を書いている人の意図的な操作があるのはあきらかだ。

能力が足りない、努力が足りない人を、それに見合った部署に異動させることまでハラスメントだと言われたしまえば、逆に頑張っている人、能力が高い人がいやな気分になる。それぞれの人に、それぞれの不満があり、嫌な気分になることもある。それが世の中であり、その度が過ぎればハラスメントと言えるだろうが、当たり前に出現するマイナス要素までハラスメントとされては、逆に世の中が進まない。ハラスメントになるのではないかと気にするために、思い切ったことが何もできなくなってしまう。

今は「ハラスメント」ブームである。しかし行き過ぎだ。はっきりとしたハラスメントと「なんちゃってハラスメント」の区分けをはっきりとしなければならない。今のようななんでもハラスメントにしていい状態は、ハラスメントを甘やかしに使っているようにしか感じられない。そこまで人間を過保護にしてはいけない。
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映画『悪は存在しない』を見ました。

2024-05-16 18:50:11 | 映画
映画『悪は存在しない』を見ました。衝撃的なラストが、重層性を生みだす見事な作品です。

「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督が、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞を果たした作品です。

舞台となるのは東京にわりと近いのですが、自然豊かな高原に位置にある町です。そこにグランピング場ができる計画が持ち上がります。その計画も地元民の感覚からすれば杜撰であり、反対する者が多くいます。その中で冷静に話し合いをすすめようとする一人の男がいます。主人公のタクミです。タクミについては多くは説明されません。まだ小学生の女の子と一緒に暮らしていますが母親はいません。写真には写っているので、もしかしたら死んだのかもしれません。背景が語られないのです。

グランピング場の説明会では杜撰な説明がなされます。本来は芸能事務所だったのにコロナの補助金目当てでグランピング場建設を計画したものなので杜撰で当然なのです。地元住民はそれに気づき、中には感情的な態度を取ろうとするものもいます。しかしタクミはそれを体をはって止めます。村の人も、映画を見る人もタクミの冷静さに信頼をよせるのです。

しかしラストシーンですべてが覆されます。実はタクミは本来一番感情的な行動をとってしまう男であることがわかるのです。そしてタクミの妻がいないのも何か過去があったのではないかと考える様になります。そして、さまざまな伏線の存在に改めて気が付くのです。

見事な脚本であり、見事な映像です。映画のすばらしさを感じさせる作品でした
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官房機密費も裏金に?

2024-05-14 16:13:15 | 政治
「中国新聞デジタル」が、2013年7月の参院選で、安倍氏が東日本の選挙区で争う同党公認候補に現金100万円を渡していた疑いがあると報じた。同紙は、複数の元政権幹部の見方として、使途が公表されない内閣官房報償費(機密費)が使われた可能性を指摘している。

官房機密費については、かねてから使い道が不透明であり、疑惑があった。しかしすべてが秘密であったために、証拠がなかった。もしこれが事実だとすれば、大スキャンダルである。

自民党の政策活動費でさえ、これほど大きな問題になっているのである。政策活動費の原資は政党助成金や政治献金パーティー券収入などであり、裏金にしたことは大問題だが、政策活動費自体は「合法的」であった。(もちろん「合法的」であったこと自体が問題であったのではあるが。)

しかし官房機密費を自民党のために使ったとなれば、明らかに次元の違う大問題である。これが許されるならば、政権党は国家予算を裏金にして選挙したことになる。もはや選挙が選挙の意味を持たないのだ。

ここまで来たら、今すぐ衆議院を解散すべきだ。そして新しい政権に、政治改革をまかせるのが筋である。岸田氏は筋を通せ。
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映画『ノスタルジア』を見ました

2024-05-11 08:27:02 | 映画
タルコフスキー監督がソ連を亡命してイタリアに渡って作った映画『ノスタルジア』を見ました。難解な映画ですが、心を写す映像の迫力がすごく、圧倒させられる映画です。

40年ほど前、タルコフスキーブームがあり、新宿のシアターアプルという劇場でタルコフスキー特集が組まれました。わたしはそこで主だったタルコフスキーの映画を見ました。難解な映画もあり、しかも長い映画もあったのですが、どの映画も不思議な迫力があり、強く印象に残っています。映画の芸術性を強く感じました。今回映画館で再び見ることができ、その映像のすばらしさと、メッセージ性の高さに再度触れることができました。

タルコフスキー映画の大きな特徴は、水です。常に水が流れている印象があります。普通なら水がないような場所にも水が流れ込みます。そしてそこに過去の時間が流れ込みます。特に母親の影が写し込まれるのです。これは映像詩と呼ばれるべきものなのでと思います。特に説明があるわけではない映像が直接観客にはたらきかけるのです。ちょうど音楽や絵画のはたらきを映像によって行っているのです。だから、難解ではあるのですが、その映像に身をまかせることによって、不思議な体験をしているような気持ちにさせられるのだと思います。

ラストシーンは衝撃的です。広い自然にいるのだと思ったら、その広い自然は閉ざされた場所であったことが分かります。自由だと思ってゐた世界が、結局は管理された世界の中にいたことを物語ります。今の地球の状況もおなじなのではないでしょうか。

タルコフスキー監督の他の作品も、もう一度映画館で見てみたいと強く思いました。
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夏目漱石の『草枕』を読む。9

2024-05-08 16:10:35 | 夏目漱石
第九章

画工が部屋で本を読んでいる。那美が来て雑談を始める。画工は開いたところをいい加減に読むという。那美は理解できない。画工は筋なんかなくても面白いのだという。非人情に読むのだという。逆に筋を読むというのは探偵になるということであるという。

漱石にとって探偵は忌み嫌う存在である。探偵は無理に筋をつける。しかし筋のないところに人間の真実がある。筋はあとからつけるものであり、無理な筋は人間の心を捻じ曲げるものなのだということかもしれない。人間は自分たちの行動に意味をもたせようとする。生きることに意味を持たせることによって何とか毎日を乗り切っているとも言えよう。しかしそれは「意味」に取り込まれるということになろう。社会にとっての「意味」とは「社会」にとっての都合によって作り上げられた虚像にすぎない。食事をとるのは本能であり、「意味」があるわけではない。しかし、その食事にも「感謝」とか「団欒」とか、あるいは「美食」とか何らかの「社会的意味」を与えることによって、価値を生み出すのが社会である。それはそれで悪いことではあるまいが、逆に考える自由を失うのも事実であろう。漱石が夢に興味を抱くのもそこに理由がある。

画工は昨日の振袖姿について聞く。那美は画工が見たいと言ったから見せたのだと答える。風呂に入ってきたのも親切からかと画工は攻めると、那美は「どうも済みません。お礼に何を上げましょう」と逆に攻めてくる。刺激のある会話が解放感を生む。

画工が茶に呼ばれたときどこにいたのかと那美に聞くと、「鏡の池」にいたという。「鏡が池」ならば固有名詞に聞こえるが、「鏡の池」というと普通名詞のように聞こえる。さらに那美は「身を投げるに好い所」だと言い、「私は近々投げるかも知れません」とも言う。さらに

「私が身を投げて浮いているところを――苦しんで浮いてるところじゃないんです――やすやすと往生して浮いているところを――奇麗な画にかいて下さい」

とまで言う。ここまでくると、那美には何らかの意図があるように感じられる。那美と画工はお互いに攻め合いながら、協力して進んでいく関係である。ただし、そこに死を忍ばせているところが、意味深さもあり、逆にあざとさも感じられる。
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