とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『スカイライト』(12月15日 新国立劇場小劇場)

2018-12-23 10:42:30 | 演劇
[作]デイヴィッド・ヘア
[翻訳]浦辺千鶴
[演出]小川絵梨子
[出演]蒼井優 / 葉山奨之 / 浅野雅博

 さまざまなことを感じさせる舞台である。そんなにむずかしい話ではない。しかしこの作品の意図は一度ではつかみきれない。もう一度見たくなる作品である。またNTの舞台を映画館で見られるそうだが、それも見てみたかった。演出家の意図も知りたいと思った。

 あらすじを新国立劇場のホームページより引用する。

 ロンドン中心部から離れた質素なアパートに住むキラの元に、かつての不倫相手の息子であるエドワードがやってくる。妻アリスを亡くして以来、不安定なままの父親トムを助けてほしいと言い残し、彼は去る。

 同じ日の夜、期せずしてトムもまたキラの元を訪れる。三年ほど前、不倫関係が明るみになった日以来、初めて再会した二人は、夜更けまでこれまでのことを語り合う。お互いへのいまだ消えぬ想いと、解けない不信感、共有する罪の意識の間で大きく揺れ動く二人の会話は、やがてそれぞれの価値観の違いへと触れて行く。相手の急所を射抜く言葉を知っている二人の駆け引きがたどり着く先は……。


 いくつか気になっている点をあげる。

 その1。最初の場面でエドワードのしゃべりはどもったり、イントネーションがおかしかったり、不思議なしゃべりをしている。まるで素人の演劇のようなしゃべりなのである。こういう個性なのかと思っていると、最後の場面では普通にしゃべっている。この意図はなんだったのだろう。台本通りなのか。それとも演出家の意図なのか。そしてそれによって何を表そうとしているのか。あきなかに何かの意図はある。そこがまだつかめない。この変化はプラスの変化である。だとすればこのプラスは何なのか。そこを確かめたい。

 その2.前半キラはパスタを作る。野菜を切り、炒め、トマト缶をいれる。一方でパスタをゆでる。パスタはゆですぎる。それをざるで湯切りしたところで、前半が終わる。前半と後半の間にキラとトムがベッドに入る。後半が始まると、かなりの時間が過ぎている。パスタはざるの中でかたまっている。後半はキラはそれらのかたずけをしつづける。この演劇でこのパスタづくりと片づけはどうしても気になるところである。そこには日常がある。一方トムはレストランを経営している。トムの店で食べることは非日常である。キラのつくる日常のパスタとトムのレストランの食事の対比を描いているのかと思っていた。しかし、最後にエドワードが持ってくる朝食はホテルの朝食である。これは非日常の朝食である。それを満足そうに食べるエドワードとキラ。これはなんだったのだろう。

 いくつかのひっかかりがあり、それは心にひっかかり印象を残す。その意図を知りたいと感じる舞台であった。
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