今日の朝日新聞に次のような記事が掲載されていた。
「『文科省、ベネッセに肩代わり依頼 416万円、識者招き』
文科省からベネッセ側へ送られたメールの添付ファイル。「謝金」として1日あたり50万円、計250万円が記され、「ベネッセ様からお支払いいただきたい額」が示されていた。
文部科学省が昨年、大学の評価のために米国から2人の委員を招いた際、1日あたり約50万円の謝礼を求められたものの、国の基準の約2万円しか支出できず、差額分をベネッセホールディングスの関連法人が負担していたことが関係者の話で分かった。文科省の担当者からはベネッセ側に対し、渡航費の一部も含めて計約416万円の支出を求めるメールが送られていた。文科省は内部監査の結果、「強要も便宜供与もなく問題なかった」と結論づけたが、識者は「癒着を生む恐れがある構図だ」と指摘する。」
近年、教育界にベネッセの影響力は大きくなりすぎている。たとえば小中学生の学力試験はベネッセがおこなっている。国が認めた独占形態となっているのである。また高校においては、「e-portfolio」の導入に際して影響力を持ち、自社の製品を購入すると有利になるような誘導的な営業をおこなっている。また2020年度より、英語検定試験を大学入試に活用することになったが、「GTEC」というこれまでだれも知らなかった英語検定試験を作り、それを高校に強引に売り込みにかかっている。この「GTEC」は安さが魅力のために多くの学校が導入せざるをなくなっている。「学びの基礎診断」という試験を導入して、ベネッセの基礎力模擬試験を導入させるように強引に売り込みにかかる。さらには新テストにおける国語の記述式問題はベネッセ社がつくるというまことしやかなうわさが流れている。採点もベネッセがやるという。最後のはうわさだけかもしれないが、このようなうわさが流れるだけでも影響は大きい。いずれにしてもベネッセの商品を高校が導入せざるを得ないような教育改革が進んでおり、そこに強引な営業活動もあり、高校の現場はベネッセの下請けのような状況にすでになっているのだ。しかもベネッセの営業は態度がでかい。いったい何様なのかという態度で高校にやってきては、競争心をあおり、焦らせ、強引な売り込みをするのである。やくざ商売のようにも思えてしまう。
教育に民間が参入するのは悪いことではない。現状の教育界は旧態依然としていて改革が進まない。これは公務員体質であることが大きな要因であることは間違いない。しかし現状では大きな問題がある。それは次の通りである。
①民間の思惑は教育自体にあるのではなく、自社製品の売り込みにある。だから本来の目的がいつの間にか忘れ去られ、ゆがんだ方向に改革が進んでしまっている。例えば、英語の4技能を重視することは悪いことではない。しかし、それを民間の検定試験をどれでもよく受験し、その結果を入試に用いるというのは明らかに公平性がたもつことができない。しかも議論が成熟しないままなし崩しで進んでいる。英語の検定試験に関しては早くから反対意見が有識者から多かった。しかし、きちんとした議論なしに進んでいたのだ。初期の段階からこのような反対だらけの状態というのはこの改革がゆがんでいる証拠である。
②民間の参入といっても、多くのものがベネッセが独占状態であり、競争がはたらいていない。比較ができないので現場ではしょうがなくベネッセに頼らざるを得ない状況ができあがってしまっている。もはやベネッセの思うままである。これでは民間活用の意味がない。
いずれにしても、ベネッセは特別な位置にあり、そのベネッセが文科省の肩代わりをしているとすれば、これは癒着である。もっと厳しい目でチェックをいれてもらいたい。
教育改革は必要である。それに民間の力を借りるのはいいことだ。しかし、変革には混乱がつきまとう。どさくさにまぎれてもうけに走る企業があれば、真の改革はありえない。現状はゆがんだ状態にある。だからこそ、東大、京大、東北大などが、英語の民間試験を要求しないという結論に至ったのだ。真の教育改革になるように、もっと議論を深めてほしい。同時に、ベネッセは偉くなりすぎないでほしい。
文科省はもっとしっかりしろ。
「『文科省、ベネッセに肩代わり依頼 416万円、識者招き』
文科省からベネッセ側へ送られたメールの添付ファイル。「謝金」として1日あたり50万円、計250万円が記され、「ベネッセ様からお支払いいただきたい額」が示されていた。
文部科学省が昨年、大学の評価のために米国から2人の委員を招いた際、1日あたり約50万円の謝礼を求められたものの、国の基準の約2万円しか支出できず、差額分をベネッセホールディングスの関連法人が負担していたことが関係者の話で分かった。文科省の担当者からはベネッセ側に対し、渡航費の一部も含めて計約416万円の支出を求めるメールが送られていた。文科省は内部監査の結果、「強要も便宜供与もなく問題なかった」と結論づけたが、識者は「癒着を生む恐れがある構図だ」と指摘する。」
近年、教育界にベネッセの影響力は大きくなりすぎている。たとえば小中学生の学力試験はベネッセがおこなっている。国が認めた独占形態となっているのである。また高校においては、「e-portfolio」の導入に際して影響力を持ち、自社の製品を購入すると有利になるような誘導的な営業をおこなっている。また2020年度より、英語検定試験を大学入試に活用することになったが、「GTEC」というこれまでだれも知らなかった英語検定試験を作り、それを高校に強引に売り込みにかかっている。この「GTEC」は安さが魅力のために多くの学校が導入せざるをなくなっている。「学びの基礎診断」という試験を導入して、ベネッセの基礎力模擬試験を導入させるように強引に売り込みにかかる。さらには新テストにおける国語の記述式問題はベネッセ社がつくるというまことしやかなうわさが流れている。採点もベネッセがやるという。最後のはうわさだけかもしれないが、このようなうわさが流れるだけでも影響は大きい。いずれにしてもベネッセの商品を高校が導入せざるを得ないような教育改革が進んでおり、そこに強引な営業活動もあり、高校の現場はベネッセの下請けのような状況にすでになっているのだ。しかもベネッセの営業は態度がでかい。いったい何様なのかという態度で高校にやってきては、競争心をあおり、焦らせ、強引な売り込みをするのである。やくざ商売のようにも思えてしまう。
教育に民間が参入するのは悪いことではない。現状の教育界は旧態依然としていて改革が進まない。これは公務員体質であることが大きな要因であることは間違いない。しかし現状では大きな問題がある。それは次の通りである。
①民間の思惑は教育自体にあるのではなく、自社製品の売り込みにある。だから本来の目的がいつの間にか忘れ去られ、ゆがんだ方向に改革が進んでしまっている。例えば、英語の4技能を重視することは悪いことではない。しかし、それを民間の検定試験をどれでもよく受験し、その結果を入試に用いるというのは明らかに公平性がたもつことができない。しかも議論が成熟しないままなし崩しで進んでいる。英語の検定試験に関しては早くから反対意見が有識者から多かった。しかし、きちんとした議論なしに進んでいたのだ。初期の段階からこのような反対だらけの状態というのはこの改革がゆがんでいる証拠である。
②民間の参入といっても、多くのものがベネッセが独占状態であり、競争がはたらいていない。比較ができないので現場ではしょうがなくベネッセに頼らざるを得ない状況ができあがってしまっている。もはやベネッセの思うままである。これでは民間活用の意味がない。
いずれにしても、ベネッセは特別な位置にあり、そのベネッセが文科省の肩代わりをしているとすれば、これは癒着である。もっと厳しい目でチェックをいれてもらいたい。
教育改革は必要である。それに民間の力を借りるのはいいことだ。しかし、変革には混乱がつきまとう。どさくさにまぎれてもうけに走る企業があれば、真の改革はありえない。現状はゆがんだ状態にある。だからこそ、東大、京大、東北大などが、英語の民間試験を要求しないという結論に至ったのだ。真の教育改革になるように、もっと議論を深めてほしい。同時に、ベネッセは偉くなりすぎないでほしい。
文科省はもっとしっかりしろ。
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