安倍政権は力のある政権だった。安倍政権の評価についてはこれまでもここで何度か書いてきたので、今回は省略する。ただし安倍晋三氏は亡くなる前まで政界における最大の権力者だった。だれもが安倍氏に忖度した。
しかし安倍氏は不幸にも殺されてしまった。その結果政界における中心的な権力者がいなくなった。この変化は大きい。自民党政権への忖度がおきなくなった。しかも安倍氏の死は旧統一教会の問題と関係づけられ、安倍氏の評価を一気に落とした。いや安倍氏の政治に対して表立って批判する人が出てきた。
もう一つ重要な出来事があった。ジャニー喜多川氏の問題である。ジャニーズ問題はジャニーズ事務所の問題でもあったが、その暴走を許してしまったマスメディアへの批判も大きかった。権力の横暴を許す構造に対して世論は強く反感をしめした。それが政治にも波及した。結果として安倍政権時代に出来上がった権力に忖度する構造の揺り戻しが起きた。その結果、例えば最近の細田議長の記者会見でも、かなり厳しい質問がでるようになってきた。
現岸田政権にも厳しい目がむけられるようになった。本来ならばバラマキ政策にこれほど批判がでるはずはない。しかし世論はそれをゆるさなかった。さらには自民党内からも批判が起きる。世耕氏の代表質問はその典型であった。世耕氏の無節操さは安倍派の力の衰えが現れたものであり、これは自民党内でも動揺を生んでいる。政界は流動化の渦中にあるといっていい。
そもそも岸田氏はアベノミクスの後始末を強いられたかわいそうな政権である。それでも安倍晋三氏が生きていれば忖度は続いたであろう。しかしもはや忖度は起こらない。それはとてもいいことではあろう。しかしここで混乱ばかりしていたら、本当にこの国の未来が心配である。
いよいよ新しい時代の政治家が出てくるチャンスだ。選挙のための政治家なんかいらない。信念のある正直な政治家が表にでてきてほしい。