映画『夏時間』を見ました。子供のころ、死を間近にした家族のいる時に体験する感覚が呼び起こされます。不思議な既視感を覚える映画でした。
監督
ユン・ダンビ
出演者
ヤン・フンジュパク・スンジュンパク・ヒョニョンキム・サンドン
(あらすじ)
少女オクジュと弟ドンジュは、夏の間、大きな庭のある祖父の家にやってくる。祖父は認知症が進み、父親は仕事がうまくいっていない。母親とは離婚している。弟はすぐに新しい環境に馴染むが、オクジュはどこか居心地の悪さを感じる。さらに離婚寸前の叔母までやって来て、ひとつ屋根の下で3世代が暮らすことになる。祖父の具合はさらに悪くなり、施設に送ることを考える。残された家をどうするのか、父と叔母は対立する。
祖父の認知症は進み、普通の生活をするのは困難になってきています。そこで父と叔母は父親を施設に送ることを考えます。父と叔母はそれをオクジュとドンジュに相談します。子どもにはその相談の意味の本質が分かりかねます。それでも大人として答えなければいけません。この感覚は誰もが経験するものでしょう。しかし相談の甲斐もなく、結局は父親と叔母は子どもたちの意見を無視して父親を施設に送る方向で考え始めます。それが分かった時の悔しさもだれもが経験します。
祖父の葬式に別れた母親がやってきます。その時だけ家族は昔のように食卓を囲みます。葬儀のときだけ家族が家族になる。そんな感覚が呼び起こされます。
夏休みという、あの永遠の時間の中で、さまざまな経験をしていたのだと感じさせる、不思議な既視感のある映画でした。