とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

斎藤幸平著『人新生の「資本論」』を読みました。

2021-03-02 18:23:17 | 読書
 斎藤幸平氏の『人新生の「資本論」』を読みました。資本主義のゆがみが見え始めている現代において、これから人間はどうあるべきかを考えるためのヒントを与えてくれる本です。大変勉強になり、また刺激にもなりました。

 「人新生」というのは、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェンが名付けた言葉で、人類の経済活動が地球に与えた影響により、地質学的に地球が変化した年代のことをいいます。現代は地球温暖化などのように、近代における人類の活動によって地球上の生物におおきな影響を与えています。その結果、生物の生存にさえ危機をもたらしています。「人新生」とはそういう年代のことです。

 「人新生」を生み出したのは、近代における「資本主義」です。資本主義は一度始まるととどまることがありません。全世界に広がり、地球の資源を使い果たし、地球の環境を破壊していきます。この資本主義の行きつく先を予言していたのがマルクスでした。

 マルクス主義はソ連や中国のような共産主義国家の失敗によって一時は否定されるべきものとなっていました。しかし資本主義の行き詰まりはここに来てあきらかになってきたのであり、ソ連のような「共産主義革命」はあまりに早かったのだと思われます。

 マルクス自身の勘違いもあったのだとは思います。だからマルクスも自信で共産主義革命を企てていました。しかしマルクスの予言した危機は100年遅く訪れたわけです。マルクスの修正した考え方も現存する資料の中に見えてくると筆者は指摘します。そしてマルクスの考え方を現代に生かすべきだと筆者は主張します。

 しかしこれが現実的な解決になるのかも今のところ判断できません。しかし、多くの人がこの危機感を共有しない限り解決の道は開かれません。その意味で必読の本です。
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