とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

新国立劇場でオペラ『紫苑物語』を見ました。

2019-02-25 08:29:25 | 演劇
【スタッフ】
原作:石川 淳
台本:佐々木幹郎
作曲:西村 朗

指揮:大野和士
演出:笈田ヨシ

【キャスト】
宗頼:高田智宏
平太:大沼徹
うつろ姫:清水華澄
千草:臼木あい
藤内:村上敏明
弓麻呂:河野克典
父:小山陽二郎

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

 私はオペラはほとんど見たことがない。だからどう評価していいのかわからない。今回、私の好きな石川淳の作品のオペラ化ということで、見ておかなければならないと思った。

 全体的にはすばらしい作品だった。ラストに向けて盛り上がっていくのを感じた。舞台装置も鏡や映像を使った斬新なもので、視覚的にもおもしろい試みがなされていた。新作でここまでのチャレンジができたことは称賛に値する。

 ただし、原作の持つ象徴性が再現されたのかは疑問である。「紫苑物語」は非常に象徴的な小説である。「歌(和歌)」と「弓」の戦い、それが「魔」を生み、すべてが「死」んでいく。そこには「紫苑」が咲く。この象徴性がまだ表現しきれていないように思われる。

 この象徴性を表現するためには音楽によるべきである。だからオペラという手法はすばらしい発見であった。しかし私のような素人には申し訳ないが現代風のセリフを音に乗せているだけのオペラは音楽に聞こえない。1曲でいい、メロディーラインのしっかりとした歌があればよかったと思う。オペラ好きの人には怒られる意見なのであろうが、雅俗合わさってこその石川淳作品である。
コメント
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