今日は三月五日で春になりました。
円覚寺で河津桜がさいています。
白梅も満開。
ありがとうございました。
新潟大学名誉教授 岡田先生のブログから。
(2022.3.7)
NEW!
(4) 妊娠中のワクチン接種は絶対ダメ! 偽りの論文を告発する
米国の研究者が2021年6月17日づけで発表していた論文が、いま波紋を呼んでいます。その論文は、「妊娠中にワクチン接種を受けた人たちを調べたところ、流産や低出生体重、奇形などの割合が従前の統計値とほぼ同じで、悪影響は認められなかった」と報じたものでした。
次の表は、その論文に載っていた一部を私が日本語にしたものです。表中のv-safeとは、米国疾病対策予防センター(CDC)が作ったスマホ・アプリのことです。アプリをダウンロードした利用者には、ワクチン接種を受けると、自動的にアンケートが送られてくる仕組みで、妊娠経過や副作用などを登録できるようになっています。
この論文は日本でも話題となり、当時のワクチン担当大臣が「妊婦にも悪影響がないことが証明された」と発言していました。ところが半年ほど経ったいまになり、この論文についてとんでもない事実が判明しました。データが間違いだらけで、「この論文は取り消しにすべし」との激しい非難が相次いでいるのです。指摘されている問題点は多々あるのですが、そのうち、もっとも深刻なのが「流産の頻度」についてでした。
この表には、妊娠20週(5ヵ月)未満で827人がワクチン接種を受け、うちが104人が流産となり、率にして12.6パーセントになると記載されています。しかし表の欄外に「827人中、700人は妊娠20週以降に接種した」と、小さな文字で記載されていました。したがって正しくは、827人から700人を除いた127人が分母となり、流産の率は82パーセントと計算すべきだったのです。
さらに、比較対象とした「過去の統計値」にも引用の間違いがあり、表中「妊娠20週未満の流産は過去の報告で10~26パーセント」と記されているにもかかわらず、その元となる文献には(私もすべて読んでみましたが)、どれも10パーセントくらいとしか書かれていませんでした。つまりデータを正しく解釈すれば、「妊娠20週以内にコロナワクチンを接種すると、流産の可能性が8倍以上も高まる」ということになります。
指摘を受けた著者らは、表の一部を以下のように訂正しました。表中、赤線の枠内が修正された箇所です。
一応の訂正はなされているのですが、単に数字を消しただけであり、本文中の説明は以前のままになっています。
この論文の筆頭著者トム・T・シマブクロ氏はCDCの高官です。企業との関係を取り沙汰したネット情報もあるのですが、信頼性の確認ができないため、これ以上は触れないことにします。
それ以上に問題なのは、有名な医学専門誌に掲載された論文が、読者の知らないところで勝手に書き替えられ、注釈もないまま掲載が続けられている点です。書き換えがなされた時点で、著者および編集者のコメントが小さな文字で同誌に掲載されたのですが、論文をコンピュータで検索する読者には、訂正された事実が伝わりません。
私自身、ある米国専門誌の共同編集長を長く勤めてきましたが、このような対応は「学術誌の運営上ありえない行為」であり、(何らかの意図があるのかと)恐ろしささえ感じています。雑誌の名称「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」と、筆頭著者の名前は(今後も物議をかもす可能性があり)覚えておいたほうがよさそうです。(文献のいくつかをお知らせくださった方に感謝します)