堤 未果さんの「日本が売られる」から
有機農業大国となりハゲタカ達から国を守る(P246-252)から
ウクライナ戦争も違った方向から眺めて見るのも?
(ヨ-ロッパでは食べ物について有機食物に感心が向いていると
アメリカと日本は、無関心すぎるのでは?)
(イタリア、マレ-シア、フランス、スイス、アメリカの
状況が書かれています。)
有機農業大国となり、
ハゲタカたちから国を守る~ロシア
2020年までに自給率100%を達成する
アメリカが外交上の武器として位置づけた「遺伝子組み換え種子」が世界中を駆けめぐる中、
もう一つの大国は、全く逆方向からの戦略を進めていた。
2015年12月3日。ロシアのプーチン大統領は、自国議会でこう宣言する。
「ロシアは2020年までに、食料自給率100%を達成する。
我が国には自国民に十分な食を供給できる国土と水資源かおるだけでなく、健康的で質が高く環境に優しい食べものを、世界中に輸出することも可能だろう。
今世界中で求められている、そういう良質な食べものを、西側諸国はずいぶん前に作るのをやめてしまったようだからな」
ちょうど前年11月に、トルコがロシア軍用機を墜落させたことへの報復措置として、同国からの農産物輸入を禁止した矢先のことだった。
だが、その西側諸国では、ロシアのような大国が完全な自足自給を果たすという考えは、まるっきりバカにされていた。
2億1772万ヘクタールと農場の面積は広大でも、それを生かせるだけの家畜の数も、技術も追いついていない。小麦の生産量一つとっても、まともな機材がないために、英独仏とは比較にならないほど小規模だ。国内の財閥は、海外投資に夢中になっている。結局、自給率を高めようとして失敗した旧ソ連の時代から、ロシアは一歩も進んでいないではないか。
だが一歩も進んでいないのはロシアではなく、西側諸国の古い先入観の方だった。
ロシア連邦貯蓄銀行によると、ロシア財閥の多くは、海外よりもむしろ、自国内で政府が力を注ぐ農業プロジェクトヘの投資に熱い視線を注いでいるという。
彼らが近未来の成長産業として、最も投資リターンを期待するのは、超近代的ハイテク〈有機農業〉だ。
プーチン大統領が自給率100%宣言をした時期、ロシアの大富豪ウラジミールーイェフトウシェンコフ氏は、持ち株会社AFKシステマを通し、農業法人「ユージヌイ農業複合体」の買収を完了する。
123ヘクタールというフットボールスタジアム2300個が入る巨大な温室は、最新技術を使った気象コントロールシステム完備の農場だ。
エルブルス山からの澄んだ雪解け水と、常に完璧に調整された気候の中で、農薬も化学肥料も一切使わないキュリやトマトが、すくすくと育ってゆく。
プーチン大統領の掲げる〈クリーンで、健康的で、高品質〉を満たしたこれらの生鮮野菜は、ここから18時間かけてモスクワヘと運ばれるのだ。
この時期90億ルーブル(約138億円)かけてロシア国内の農地を複数箇所購入したAFKシステマによると、農機具を始め、全ての設備が急ピッチでアップグレードされ、2015年には4万3000トンだった生産量を、70%増量する技術がすでに完成しているという。
他国からの技術投資も増えてきた。
カルガ地域に新たに建設された238ヘクタールの農業施設では、オランダ製の自動化装置が導入され、オーガニックのキュウリ、レタス、トマト、ハーブなどが生産されている。今後ますます拡大してゆくだろう。
ロシア政府からの農業投資補助金を受けて、国内で砂糖や畜肉を生産するロスーアグロ社は、年間30億ルーブル(約46億円)の収益を上げている。
同社は国内最大手の国有石油会社ルクオイルを超える純利益を上げ、ロシア全体の砂糖自給率は、主要輸出国となった穀物と並び、目標達成まであと一歩だ。
オーガニック農業を中心とした自給自足のフードシステムを作るために、大規模農場だけでなく、国内の小規模農家もその存在意義が見直され、政府が支援を強化するようになった。
点在する小規模農家がつながった循環型の農業共同体は、多様性を生み出し、緊急時の食の安全保障を一層盤石にするだろう。
食を自給せよ、種子を外資に渡すな政府が国策として食の安全保障を掲げてからというもの、ロシア国内の農業はみるみるうち
に近代化し、アメリカ製の遺伝子組み換え農作物を嫌うヨーロッパなどを対象に、ハイテク有機野菜や乳製品、主要穀物の輸出国として頭角を現すようになった。
食の安全基準の厳しさにも定評があり、2014年7月には、モスクワの裁判所がロシアの食品安全基準値を上回る脂質や糖分、炭水化物などが使用されているとして、ロシア国内に店舗を持つハンバーガーチェーンのマクドナルド社を、安全法違反で提訴している。
ハイテク有機の穀物や野菜が波に乗り、周辺国の食糧供給チェーンに食い込んだ手応えを感じたら、次に手中に収めるべきものは一つしかない。
2017年7月。プーチン大統領はこう言った。
「我が国の農業は、成長産業として順調に仲びてきた。
だが、いまだに〈種子〉を外国からの輸入に依存している。我が国の食の独立を阻む状況を、このままにしておいてはならない」
広大な農地を持ちながら、ロシアは580億ドル(約5兆8000億円)という世界4位の種子輸入大国だ。
例えば砂糖・甜菜は80%、トウモロコシは53%の種子を、モンサント社やシンジェンタ社などのグローバル種子企業から買っている。
ルーブル安や原油価格の落ち込みに加え、周辺国から経済制裁までされているロシアにとって、自家採種ができない外国企業の特許付き種子を毎年買わねばならないのは、大きな負担だつた。そしてまた、種子を外資に依存すれば食の安全保障を守れなくなる。
核戦争では兵器の数で僅差でも、種子という生命源を西側に奪われれば、種子戦争での敗北が目に見えない侵略につながってゆくだろう。
ロシア政府は、そのことをよくわかっていた。 ‐
「我々ロシア人は、誰にも依存しないレベルへと、前進しなければならない」チェクマレフ農務省穀物局長の言葉と、新興財閥のトップたちが財布の口を開くのとは同時だった。
トウモロコシや大豆、甜菜や小麦など、全ての種子の国内自給を前提に、その開発と遺伝子研究センター建設の5億ルーブル(約9億円)プロジェクトに取り掛かったのだ。国内の種子企業はフランス企業と連携し、トウモロコシや菜種、ひまわりの共同種子開発が始まった。
ハイブリッド種子開発で、グローバル企業の支配に対抗する
農薬に耐性を持ち、害虫に抵抗力を持つよう遺伝子操作された外国企業の特許付き種子は、本当に、その土地で開発される種子より優れているのだろうか?
少なくともロシア食品人手ロスーアグロ社のモシュコビッチ社長の目には、遺伝子組み換え種子を売り込むそれらの企業広告は、それほど魅力的には映らなかった。
そもそもロシア政府は、人体や家畜への健康、生物多様性や環境に悪い影響を与えるリスクを懸念して、遺伝子組み換え作物自体に否定的なスタンスをとっている。
安全性に疑問符がつく遺伝子組み換え作物よりも、ロシアという土地の風上や気候条件に合った地産地消の種子の方が、完成まで10年かかったとしても、害虫に対する抵抗力も強く、結局は穀物の収穫量を何千万トンも増やすだろう。
そう信じたモシュコビッチ社長は、遺伝子操作ではなく、他の品種との交配を繰り返すことで同じ特徴を出すための、ハイブリッド種子開発に着手した。
本当に良いものができるまで試行錯誤を繰り返し、市場に出してから安定するまで、まだまだ時間がかかるだろう。
だが長い目で見れば、国民の健康を守り、環境を脅かさず、経済的にも安上がりで、食の安全保障も維持できる国産非遺伝子組み換え種子に、ロシアは未来をかけることに決めたのだ。
天然資源と広大な農地を持つロシアで、持続可能な経済モデルを目指すプーチン大統領は、農業だけでなく、予不ルギーや教育、住宅など、国民生活に直結する分野を「優先的国家プロジェクト」として強化するよう取り組んでいる。
食をめぐる新しい冷戦構造の中、各国が猛スピードで新しい配置につくのが見えるだろうか。
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先週、大塔の宮の境内で三浦半島の農家の野菜を販売していました。
毎週土曜日に午前に農家から仕入れて販売しているとのこと。
卵はひらがいで餌も気をつけているそうです。
6個で700円です。
僕は、今京急上大岡で購入しています。
昨日見たら6個入りが330円が360円になっていました。
有機野菜を販売しないんですかと聞いたら値段の問題で
高いのでと返事でした。
卵もなかなか仕入れにくいとか。
地産地消が今の状態ですね。
鎌倉野菜のの販売も同じような状況ですね。
僕は、横浜駅そごう地下のお店に時々寄ります。
野菜には、農薬の使用した時期が記載しています。
ロシアは国民のためにいろいろと政策を行っているようですね。