おじさん山伏です

修験道の修行から見た心の散歩です。
アイヌのアシリ・レラさんからの命名です。
「キムン・マタギ」になりました。

新潟大学名誉教授 岡田正彦先生のブログから 新型コロナはこれからどうなるのか。

2022-05-14 | 日記

新潟大学名誉教授 岡田 正彦先生のブログから

(2022.5.2)

NEW!

―第6回― 新型コロナはこれからどうなる?

<パート1> 過去に流行したウイルスからわかること

 今から100年ほど前のこと、「スペイン風邪」と呼ばれる恐ろしい伝染病が大流行しました

。肺炎などで死亡した人が多く、致命率10パーセント以上。

世界で5千万人が命を落としたとされています。

現代の人口に換算すれば1.8億人です。発生源は、スペインでなく中国との説が有力です。

そのウイルスは3年後、消滅しました。

記憶に新しいのは、今から20年ほど前に流行したSARS(サーズ)です。

重い肺炎を起こし、致命率がやはり10パーセントと報じられ、世界中がパニックに。

原因は中国で発生したウイルスで、幸い、日本に上陸することなく、1年半ほどで終息しました。

日本が流行から免れた理由は、海外からの入国者がまだ圧倒的に少ない時代だったからです。

いわゆる「普通のカゼ」は、その約3割がOC43という名のコロナウイルスによるものです。

複数の研究者が、「このウイルスは130年前に世界的に大流行し、

徐々に弱毒化しながら、今まで残ってきたもの」と報告しています。

<パート2> インフルエンザはなぜ季節性なのか?

 毎年、冬になるとインフルエンザが流行りますが、

なぜ夏にはないのでしょうか? 

米国で行われた動物実験で、

インフルエンザのウイルスは、高温・多湿の環境におかれると、

分裂する頻度と感染する能力が極端に低下することがわかりました。

そのため、北半球が夏になると、高温・多湿の環境におかれたウイルスは、

ほとんど死滅してしまいます。

その間、季節が逆の南半球では、ウイルスが元気いっぱい増殖し

、人から人へと感染を繰り返します。

やがて、そこも夏になると、ウイルスは死滅します。

では季節が夏から冬に変わったとき、

インフルンザ・ウイルスはどこから来るのか? 

答えは簡単です。

北半球と南半球を行ったり来たりする旅行者が持ち込んでくるのです。

スペイン風邪が大流行した当時は第一世界大戦の真っただ中で、

兵隊がウイルスをばらまいていました。

新型コロナには、そんな「季節性」がなく、夏にもかかる「普通のカゼ」と似ています。

<パート3> ウイルスはどう変身していくのか?

 ウイルスが分身を作る際、複製された遺伝コードに、

たまたま「コピーミス」が生じることがあります。

そのコピーミスによって作られたウイルスの分身では、

たとえばトゲトゲ蛋白の形が少し違ったものになるかもしれません。

ほとんどのコピーミスは、些細なものですから、

ウイルスにとっても、また感染した人間にとっても影響はありません。

しかし、軽微なミスも、少しずつ溜まっていくうち、

増殖する能力や病原性に強い影響を与えるものも出てきそうです。

ウイルスの立場になって考えてみましょう。

コピーミスによって、もし病原性がすごく強くなったとすると、

感染した人間は、すぐ重症になり、死亡するか、病院に隔離されてしまい、

伝染を広げていくチャンスを失います。

一方、伝染する力が高まれば、あっという間に多くの人間に移っていくことができますから、

仲間を増やすチャンスです。

 

<パート4> まとめ

 専門家がよく口にするのは、

「感染者が増えると地域全体で免疫力が高まり、流行は収束する」という説です。

いわゆる集団免疫です。米国でわかりやすい実験が行われました。

15人の健康なボランティアに風邪のコロナウイルスを感染させ、

1年後に再び同じことをしました。

その結果、1年後も、やはり全員が発熱などの症状を示したということです。

一度の感染で免疫がついても、短期間で効力が切れてしまい、感染は繰り返すのです。

 

では、なぜスペイン風邪やSARSは終息したのでしょうか?

多くの研究者が指摘するのは、やはり感染予防に対する人々の理解が深まったから、

ということです。

「マスク着用」、「手洗い励行」、「ソーシャルディスタンシング」という3つのフレーズは、

実は100年前に作られたものです。

加えて、時を経るごとにウイルスの病原性が弱まり、

感染力は高まっていくという、自然の摂理も働らいたでしょう。

この摂理が働くのは、大流行によってウイルスの分裂が激しく繰り返された場合に限ります。

ただし、反論もあります。

「エボラ、ジカ、肝炎などのウイルスは、

弱毒化せずに残り続けている」という反論です。

エボラの場合、感染する人が圧倒的に少ないため、自然の摂理が働きません。

ジカ熱は、何年か前に南米で大流行した感染症で、蚊がウイルスを媒介します。

したがって、蚊を退治できたかどうかの問題でしかありません。

肝炎ウイルスは、感染力が弱いことに加え、

人間の体内にずっと残る性質があるため、

そのまま変わることなく社会に居座ってしまったのです。

新型コロナウイルスは、「しだいに弱毒化して落ち着いたあと、

やがて普通の風邪ウイルスとして残っていく」というのが

最新エビデンスに基づく考察の結論です。

次回の第7回は、「誤った統計学が世界を狂わせた?」です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする